未払いの役員日当について
ひとり法人ですが、出張規程を定めて役員に対し出張日当を支払うことにしています。
しかしながら今期は設立期のため、実際には役員への支払いをしておりません。
そのため未決済で日当を複数回分計上しています。
これを未払いのまま第2期に持ち越し、利益が出た時点で支払ったのちに支払い済みの処理をしたいと思っていますが、この方法で今期(第1期)の決算は問題ないでしょうか?
「業務上の出張実態があり、確定した債務として未払金計上する」こと自体は問題ありません。
しかし、「利益が出た時点で支払う(=利益が出なければ支払わない可能性を含む)」という条件が付いている場合や、支給の実態・証憑がない場合は、国税庁の定める基準により当期の損金(経費)として認められないリスクが高くなります。
1. 未払計上が認められる要件(債務確定主義)
国税庁の『法人税基本通達 2-2-12(債務の確定の判定)』(および所得税基本通達 37-2)において、未払費用を当期の損金(経費)として計上するには、当期末までに「債務が確定していること」が必要です。
債務確定と認められるには、以下の3要件をすべて満たす必要があります。
債務の成立:事業年度終了の日までに、その出張日当に係る支給義務(債務)が確定して発生していること。
原因事実の発生:事業年度終了の日までに、具体的な給付の原因となる「実際の出張(業務)」が完了していること。
金額の合理的な算定:事業年度終了の日までに、出張旅費規程に基づいて支給金額が具体的に算定されていること。
2. 出張日当として認められる条件
国税庁の『所得税法 第9条第1項第4号』および『所得税基本通達 9-3(非課税とされる旅費の範囲)』に基づき、支給する日当が損金算入および役員の非課税所得として認められるには、以下の条件を満たす必要があります。
規程の存在:適正に作成された役員出張旅費規程に基づき計算されていること。
適正な金額:同業種・同規模の他社と比較して「通常必要と認められる範囲内」の金額であること。
出張実績の証明:日程、目的地、出張目的、計算根拠等を記録した「出張旅費精算書」や業務上の証憑(領収書や移動記録等)が保存されていること。
3. 税務上の主なリスクと注意点
①「利益が出たら支払う」という条件付けのリスク
「利益が出たら支払う」という決め方をしている場合、税務上は「停止条件付きの債務」とみなされる可能性があります。つまり、「期末時点では支給義務が確定していない」と判断され、債務確定要件を満たさないとして当期の損金算入が否認されるおそれがあります。
② 未払金の長期放置と利益調整の疑い
実際の支払いが長期間行われず未払金として積み上がり続けると、税務調査において「節税(利益圧縮)目的の架空・過大計上」や「支払意思のない名目上の経費」と疑われるリスクが生じます。また、将来的に支払いを免除した場合は債務免除益の計上等が必要になります。
4. 適切な対応手順
今期(第1期)の決算を問題なく進めるためには、以下の手順を徹底してください。
未払確定の意思決定:「利益が出たら支払う」ではなく、「出張の完了をもって役員への支給債務は既に確定しており、単に資金繰りの都合で支払期日を繰り延べている」という位置づけにすること。
証憑の保管:各出張ごとの「出張旅費精算書」を作成・保存し、いつ・どこへ・どのような業務のために出張し、日当がいくら発生したかを客観的に証明できるようにしておくこと。
第2期での確実な決済:第2期でキャッシュが得られた段階で、未払金を速やかに現金・預金で支払い、消込処理(未払金 / 現金預金)を行うこと。
- 回答日:2026/08/07
- この回答が役にたった:1
追加のご質問ありがとうございます。決算月を過ぎた第2期に未払日当のご精算をされた場合に、会計上、前期(第1期)の支払として処理されるのか、という点についてのお尋ねと理解いたしました。
未払債務の決済(=未払金の消込)は実際に決済した日付で会計処理される形となりますので、ご認識の通り、決算上前期で支払ったことにはならず、実際の決済日に、未払金が解消されたという形が通常です。
実際の処理は個別の事情を踏まえた判断が必要となります。大変恐れ入りますが、規程やエビデンスの内容をご確認のうえ、税理士または所轄の税務署へ具体的にご相談いただくと安心かと存じます。
ご参考になりましたら幸いです。
- 回答日:2026/08/06
- この回答が役にたった:1
回答した税理士
税理士法人クラウドパートナーズ - CloudPartnersGroup -
- 認定アドバイザー
- 東京都
税理士(登録番号: 4840), 公認会計士(登録番号: 28575), 社労士(登録番号: 13190554), 中小企業診断士(登録番号: 424441), その他
回答者についてくわしく知る未払計上そのものは、規程に基づいて支払義務が確定している出張日当であれば、期末に未払金として計上し当期の費用とする考え方はあり得ます。
ポイントは、その日当が「本当に当期に支払義務が確定しているか」という点です。
まず、出張規程が適切に整備・運用され、実際に出張の事実があり、金額・支給基準が明確であることが前提になります。あわせて、社会通念上妥当な金額かどうかも問われます。規程はあるが実際の出張実態や記録が乏しい場合、あるいは資金繰りの都合で計上しているだけと見られると、費用性が否認されるおそれがあります。
また、長期間支払わないままだと、実質的に費用の確定性が疑われることもありますので、支払時期の見込みや証憑(出張の記録等)を整えておくことをお勧めします。
具体的な計上の可否や処理方法については、実際の規程内容や出張実態を踏まえた判断が必要ですので、税理士にご相談いただくと安心です。
- 回答日:2026/08/06
- この回答が役にたった:1
ご回答ありがとうございます。
設立時に出張規程を作成し、金額も一般的な企業と同等で出張記録もあり交通費などの入力もあるので出張のエビデンスは示せると考えています。一方、まだ決算申告前ですが決算月は6月なので、もしこれから支払いをしたとしても決算上前期で支払ったことにはならないのでしょうか?投稿日:2026/08/06
回答した税理士
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- 東京都
税理士(登録番号: 4840), 公認会計士(登録番号: 28575), 社労士(登録番号: 13190554), 中小企業診断士(登録番号: 424441), その他
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