法人用の車両を個人で購入してしまった
昨年法人成りし、初めての決算を迎えています。
法人成り後に購入した車両について、詳細を確認していると個人の名義で購入していた事が分かり、法人成り後の購入のため、名義の変更は出来ないと言われました。
法人の資産として計上し、毎月のローンも経費として計上予定です。
どのようにすればよいでしょうか。
支払は、法人口座の開設が遅れてしまい、頭金・月々の支払ともに個人口座を使用しており、役員資金の名目で計上しています。
論からお伝えすると、「実質所得者課税の原則」に基づき法人の資産として計上し、減価償却費を経費にすることは可能です。ただし、月々のローン返済額そのものを経費にすることはできません。
1. 個人名義でも「法人の資産(経費)」にできるか
国税庁の通達・税法の基本原則(実質所得者課税の原則)では、名義などの「形式」よりも、実際に誰が資金を負担し、誰が事業に使っているかという「実態」を重視します。
資産計上・減価償却費の計上:
購入資金(頭金やローン)を法人が実質的に負担しており、かつその車両を法人の事業(営業や業務)のために使用している実態があるならば、自動車検査証(車検証)の所有者名義が個人であっても、法人の資産(車両運搬具)として計上し、減価償却費を損金(経費)に算入することが認められます。
私的利用がある場合の注意:
法人の事業だけでなく、役員個人のプライベートでも使用している場合、その法人負担分のうち「個人の私的使用に相当する金額」は、経費ではなく役員に対する「役員給与(経済的利益の供与)」として課税対象(役員賞与の否認リスク)になるため注意が必要です(国税庁:所得税基本通達36-15等に準ずる考え方)。
2. 「毎月のローン」は経費にできるか
非常に多くの方が誤解しやすいポイントですが、ローンの元本返済額そのものは経費になりません。
車両本体:
購入金額(取得価額)を「車両運搬具」という資産に計上し、法律で定められた耐用年数(新車の普通車であれば6年)に応じて、「減価償却費」として数年間にわたり分割して経費化していきます。
ローン返済:
ローン会社への返済は「法人(または役員)が負っている借入金の返済」という取引(負債の減少)にあたるため、元本部分は経費になりません。ただし、ローン支払額に含まれる「支払利息」の部分だけは経費(期間対応する損金)として処理できます。
3. 現実的な解決策と仕訳(経理処理)の方法
法人口座の開設が遅れ、役員の個人口座から頭金や月々のローンが引き落とされている現状を税務上正しく整理するには、「役員が会社の代わりに購入資金・ローンを立て替えて支払ってくれている(=会社から見ると役員借入金)」として処理します。
① 車両購入時(決算での資産計上)
車両の総額(頭金+ローン元本総額)を法人の資産に計上します。
借方: 車両運搬具(車両の本体価格など)
貸方: 役員借入金(役員が立て替えた総額)
※購入時の諸費用のうち、自動車税や自賠責保険料などは「租税公課」や「保険料」として経費処理します。
② 役員個人口座から頭金・ローンが引き落とされた時
毎月の引き落とし(元本+利息)が個人口座で発生するたび、法人は「役員への債務(役員借入金)」を増やします。
借方: 役員借入金(ローンの元本相当額) / 支払利息(金利相当額)
貸方: 役員借入金(引き落とされた総額)
※実務上、頭金やこれまでの引き落とし累計額を一括で「(借方)車両運搬具 / (貸方)役員借入金」として整理しても問題ありません。
③ 法人から役員へお金を返す時(法人口座開設後)
法人口座から役員の個人口座へ、立て替えてもらった資金を精算(送金)します。
借方: 役員借入金
貸方: 普通預金(法人口座)
※この返済行為自体には税金はかかりません。
4. 今後のために準備・確定させておくべきこと
税務調査が入った際、「名義は個人だが、実態は法人のものである」という主張を国税庁(税務署)に対して客観的に証明できるよう、以下の書類や記録を揃えておいてください。
法人と役員間での「合意書(確認書)」の作成
「本車両は法人の事業用資産として購入したものであり、資金は法人が全額負担し、名義変更が可能になり次第速やかに行う」旨を記載した覚書を社内で作成し、保管してください。
運行記録簿(実態の証明)
「100%事業用である」こと(あるいは事業用と私用の比率)を証明するため、日々の運転日時、目的地、業務内容、走行距離を記録した運行日誌をつけてください。これがないと、税務調査で「個人が私的に買った車を会社に押し付けた」とみなされ、経費(減価償却費)が全額否認されるリスクが高まりますので、
運行日誌をつけておかれることをお勧めします。
- 回答日:2026/06/05
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法人名義にすることが基本となりますが、
個人と法人間において、売買契約書などを締結することにより、会社の経費として計上可能と考えます。
- 回答日:2026/06/05
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回答した税理士
🌟Empower Your Dreams🌟【起業から上場まで変えられる未来に伴走します】公認会計士長南会計事務所
- 認定アドバイザー
- 東京都
税理士(登録番号: 67029), 公認会計士(登録番号: 4694), その他
回答者についてくわしく知る名義変更ができなくても、実質的に法人の業務に使用しているのであれば、法人の資産として計上し、減価償却費などを経費化することは可能です。
税務上のリスクを避けるため、法人と個人の間で「車両の売買契約書(または無償譲渡の合意書)」を作成し、実質的な所有権が法人にあることを客観的に証明できるようにしてください。
仕訳については、これまで個人口座から支払った頭金やローン返済額は、すべて「役員借入金」(または未払金)として処理します。
- 回答日:2026/06/04
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