発注者です。新規契約の際、インボイス登録・未登録の方に、報酬差をつけることは可能ですか?
お忙しいところ失礼いたします。
法人で業務委託の発注を行っている者です。
インボイス制度に関連して、新規契約時の報酬設定や契約について確認したいことがあります。
現在、業務委託先の個人事業主との新規契約を検討しておりまして、
・インボイス登録事業者
・インボイス未登録事業者
で報酬条件を変える運用は可能かどうかを相談させてください。
<質問内容>
① 新規契約の段階で、登録者と未登録者で異なる報酬額を設定することに問題はないか
② 問題ない場合、インボイス未登録者との契約時に
「インボイス未登録者と登録者で報酬に価格差があること」や、
「登録されたら事務手数料や控除額を踏まえて、報酬は改定する(アップする)」
などの説明はすべきですか?その説明をしなくても問題ありませんか?
③ 未登録事業者に対して、請求書には消費税や税込といった表記をせず、
契約金額のみを記載してもらう運用に問題はないですか?
(例:時給2,000円で契約した場合、2,000円✖️◯時間=〇〇円のみ記載いただく)
以上3点についてご教示いただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
取引条件は基本的に取引当事者の自主的な判断です。
ただし、免税事業者などの小規模事業者は、売り手・買い手間で情報量や交渉力の差が大きく、取引条件が一方的に不利になることがあり得ます。
自分より相手の地位が上の側が、その地位を使って正しい商慣習に照らして不当に不利にする場合は、優越的地位の濫用となり、独占禁止法上問題になるおそれがあります。
仕入れ先が免税事業者である取引について、インボイス制度を踏まえて条件を見直すこと自体はすぐ問題にはなりません。ただし、見直す際には優越的地位の濫用に該当する行為を避ける必要があります。
以上、独占禁止法等の考え方を踏まえて、あなたの質問に答えると以下のとおりになります。
新規契約の段階において、インボイス登録の有無を理由に異なる報酬額を設定すること、および請求書に消費税を表記せず契約金額のみとする運用はいずれも法律上問題ありません。独占禁止法や下請法で問題となるのは「すでに締結している契約」の対価を一方的に引き下げたり、登録を強制したりする行為です。
① 新規契約時の報酬額に差をつけることについて
問題ありません。
独占禁止法や下請法、一連のガイドラインは「既往の取引(既存の契約)」における買いたたきや一方的な減額を規制しています。新規契約においては、発注側と受注側の双方が条件に合意して契約を結ぶため、インボイス登録の有無による経済的合理性(御社側の仕入税額控除の可否)を踏まえて異なる報酬提示を行うことは、契約の自由の範囲内です。
② 未登録者への説明の必要性について
必須ではありませんが、事前の説明と契約書等への明記(文言化)を強く推奨します。説明しない場合、法的な罰則はありません。しかし、受注者が「他の登録事業者と同額もらえる」と思い込んでいた場合、後から金額の差を知ってトラブルや離職につながるリスクがあります。説明する場合のポイントとして、未登録者に対しては「インボイス未登録のため、当社側の税負担(仕入税額控除の制限)を考慮した報酬設定であること」を明確に伝えてください。登録後の条件改定(アップ)についてですが、 「登録が確認できたら、翌月より登録者向けの報酬単価(時給◯円)に改定する」といった条件を契約書にあらかじめ特約として明記しておくと、事務手続きや運用のルールが明確になり、お互いにスムーズな運用が可能になります。
③ 請求書に消費税・税込の表記をせず、契約金額のみを記載してもらう
運用について全く問題ありません。インボイス未登録者(免税事業者)が発行する請求書において、消費税の記載をしないこと(あるいは「消費税0円」「該当なし」とすること)は法的に問題ありません。むしろ、内訳に「消費税」と書いてしまうと、受注者が「適格請求書(インボイス)と誤認される書類」を発行したとみなされるリスク(罰則の対象となる場合がある)を避けるためにも、「契約金額(総額)のみ」の記載に統一してもらう運用は非常に健全です。
実務の例: 契約書上も「時給2,000円(消費税は含まない/対象外)」、または「時給2,000円(総額)」とし、請求書には 2,000円 × 〇時間 = 〇〇円 のみを記載してもらう形が一番シンプルで間違いが起きにくくなります。
- 回答日:2026/06/05
- この回答が役にたった:0
詳しいご返事をくださり、ありがとうございます!
非常に分かりやすい回答でとても助かりました。③について、時給〇〇円(総額)という書き方があることを知りませんでした。そのように対応させていただきます!
投稿日:2026/06/05
