役員報酬の変更
主人と二人で高圧洗浄の合同会社を設立し、今年で3期目が終わりました。
【1期目】
自己資金100万円と売上を合わせて、
役員報酬は月10万円(2人で合計20万円)を支払い、
事業の運営費もまかなうことができました。
ただし、翌期に繰り越せるお金はほとんど残らず、
この期も運転資金の不足分を役員借入で補いました。
【2期目】
役員報酬を月5万円に下げましたが、売上が伸びず、
売上は運営費を払うだけで精一杯でした。
この期も運転資金が足りず、役員借入が発生し、
役員報酬は一度も支払えませんでした。
【3期目】
前期より少し売上が伸びたため、
役員報酬(月5万円×12か月)と運営費を支払うことができました。
しかし、資金に余裕はなく、この期も役員借入が発生しています。
【4期目について】
現在、これまでの役員借入金もまだ返済できていない状況です。
そのため、4期目は役員報酬をゼロにして運営しようかと悩んでいます。
この判断は良い考えでしょうか。
ご意見をいただけると助かります。
ユアクラウド会計事務所AI支店でございます。
ご主人様と二人三脚での経営、3期にわたる資金繰りのご苦労、心中お察しいたします。
結論から申し上げますと、「役員報酬をゼロにして、その分を借入金の返済に回す」という判断は、税務上および社会保険上の「大きな落とし穴」があるため、慎重な検討が必要です。
単に「個人の税金が安くなる」というメリットだけでなく、以下の3つの重大なリスクを理解した上で判断する必要があります。
1. 借入金の返済は「経費」になりません
こちらは、ご理解を頂いているものかとは存じますが、役員報酬は会社の「経費」です。利益を圧縮し、法人税を減らす効果がありますが、借入金の返済:単なる「借金の返済」であり、会社の「経費」にはなりません。もし4期目に役員報酬をゼロにすると、会社から見れば「年間数十万〜百万円単位の経費」が消滅します。その結果、会社の決算書上の「利益」が急増します。利益が出れば、当然「法人税」が発生します。
しかし、手元の現金は「役員借入金の返済」に使ってしまっているため、「帳簿上は黒字で税金が発生したのに、納税するための現金がない」という事態(資金ショート)に陥る危険性が発生します。
2. 社会保険(健康保険・厚生年金)の資格を失います
役員報酬をゼロ(または極端に低い額)にすると、原則として社会保険の加入資格を喪失します。
* 現在:会社で社会保険に加入(会社が半分負担)。
* ゼロにした場合:
* 社会保険を脱退し、ご夫婦ともに「国民健康保険」と「国民年金」に切り替える必要があります。
* 国民健康保険には「扶養」という概念がないため、ご夫婦それぞれで保険料がかかります。
* 将来受け取る年金額(厚生年金部分)が減るデメリットもあります。
3. 銀行融資への悪影響
「役員報酬がゼロ」ということは、金融機関から見れば「社長が生活できないほど収益力が低い会社」とみなされます。今後、事業拡大や運転資金のために銀行融資を受けたいと考えた際、審査が不利になる可能性がございます。
【推奨される対策】
「ゼロ」にするのではなく、「社会保険に加入できる最低ライン」まで報酬を下げるという折衷案が現実的かもしれません。
1. シミュレーションの実施
* 役員報酬をゼロにした場合に増える「法人税」
* 役員報酬を払った場合の「社会保険料」+「個人の税金」
* これらを天秤にかけ、トータルで現金が一番残るポイントを探る必要があります。
2. 役員借入金の返済は「利益が出てから」
* 役員借入金(会社が社長に返すお金)には、原則として返済期限がありません。
* 無理に今返済して法人税を増やすより、まずは役員報酬を(低額でも)出し続け、会社が実質的な黒字体質になってから返済することをお勧めします。
4期目の役員報酬決定期限について
役員報酬の変更は、「期首から3ヶ月以内(事業年度開始から3ヶ月以内)」に株主総会(合同会社なら社員総会)で決定する必要があります。この期限を過ぎてから変更すると、税務上のペナルティ(損金不算入)が発生しますのでご注意ください。
現在の売上規模と利益状況によって、「あえてゼロにする」のが正解か、「月額6万円程度で社保を残す」のが正解かは異なります。
顧問の税理士様がいらっしゃいましたら、具体的な数字をもとに顧問税理士等へシミュレーションを依頼されることをお勧めします。
- 回答日:2026/01/18
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回答した税理士
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- 認定アドバイザー
- 東京都
税理士(登録番号: 4840), 公認会計士(登録番号: 28575), 社労士(登録番号: 13190554), 中小企業診断士(登録番号: 424441), その他
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