海外在住の代表社員本人への開発業務委託費の取扱い
現在ドイツ(ベルリン)在住で、現地でフリーランスのソフトウェアエンジニアとして活動しています。
日本には合同会社があり、私が100%出資する唯一の代表社員・業務執行社員です。従業員はいません。
現在、私は日本企業A社と個人で直接業務委託契約を結んでいます。これとは別に、合同会社が日本企業B社からソフトウェア開発案件を受注しており、その一部の開発作業を、ドイツの私の個人事業へ業務委託することを検討しています。A社とB社は別会社です。
委託予定の業務は、Backend API実装、Goでの開発、テスト、コードレビュー等で、代表社員として行う経営・契約・会社管理業務とは区別する予定です。契約書、成果物、請求書、振込記録も残します。報酬額も第三者へ委託する場合と大きく乖離しない水準を想定しています。
確認したい点は以下です。
1. 合同会社から代表社員本人の海外個人事業へ支払う開発報酬を、外注費・業務委託費として損金算入できますか。
2. 役員給与・役員賞与と認定される可能性はありますか。外注費として認められるための条件は何でしょうか。
3. 開発作業を全てドイツで行う場合、日本で源泉徴収は必要ですか。
4. 日本法人側の消費税の取扱いはどうなりますか。
ご質問の状況は、法人と代表社員個人の取引という点で慎重な検討が必要です。方向性としては、業務の実態が経営管理と明確に区別され、独立した委託取引と認められれば外注費として損金算入できる余地がありますが、否認リスクも残ります。
1・2について。代表社員本人への支払いは、役員としての職務との区別が曖昧だと役員給与(多くは損金不算入となる賞与扱い)と認定される可能性があります。認められるには、経営業務と開発業務の明確な区分、第三者と同水準の報酬設定、契約書・成果物・請求書・振込記録など実態を示す資料の整備が重要です。ご計画の内容はこの点に配慮されている印象です。
3について。作業を全てドイツで行い、日本国内に源泉のない役務提供と整理できるかが分かれ目です。国内源泉所得に該当しなければ源泉徴収は不要ですが、判断は事実関係と租税条約次第です。
4について。国外事業者への役務提供委託は、役務提供地の判定により課税・不課税が分かれます。
個別事情等で取扱いが変わりますので、具体的な取扱いは税理士または所轄の税務署にご相談ください。
- 回答日:2026/08/10
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回答した税理士
税理士法人クラウドパートナーズ - CloudPartnersGroup -
- 認定アドバイザー
- 東京都
税理士(登録番号: 4840), 公認会計士(登録番号: 28575), 社労士(登録番号: 13190554), 中小企業診断士(登録番号: 424441), その他
回答者についてくわしく知るご質問ありがとうございます。契約書や成果物、報酬の水準まで考えたうえでのご相談で、とても丁寧に準備されていると感じます。日本の税金の範囲でご説明します。
結論から申し上げると、外注費として損金に算入できる余地はあります。ただ、合同会社の業務執行社員は法人税法上の役員に当たるため、役員給与と見られるリスクがあり、どちらと判断されるかで源泉徴収の要否も変わる点に注意が必要です。
① 役員給与と見られるリスク(1・2について)
合同会社の業務執行社員は、法人の経営に従事する者として役員に当たります(法人税法2条15号、法人税法施行令7条1号)。役員への支払いが役員給与とされると、定期同額給与などに当たらない部分は損金に算入できません(法人税法34条1項)。
特に、B社から受けた開発案件は会社の本業そのものですので、「会社の業務を業務執行社員として行った対価」と見られやすい点がポイントです。外注費として説明するには、次のような事情を書類で示せることが大切と考えられます。
・会社の業務執行とは別の、独立した事業としての委託であること(ほかの取引先からも同種の仕事を受けているなど)
・成果物と報酬の対応が契約で明確で、第三者に委託した場合と同じ水準であること
・ご自身の費用と責任で業務を行っていること
② 源泉徴収(3について)
外注費として、ドイツにお住まいの非居住者に、ドイツで行う開発の対価を支払う場合は、国内源泉所得に当たらないため、日本での源泉徴収は不要と考えられます。
一方、役員給与と判断された場合は、内国法人の役員として国外で行う勤務も国内源泉所得とされていますので(所得税法161条1項12号イ、所得税法施行令285条1項1号)、日本で源泉徴収が必要になります。租税条約の扱いも含め、支払いを始める前に確認しておかれることをお勧めします。
③ 消費税(4について)
ドイツで行う開発は、役務の提供場所が国外のため、国外取引(不課税)になります(消費税法4条3項2号)。国外で開発したソフトウェアをインターネットで納品する場合も、電気通信利用役務の提供には当たらないとされています(消費税法基本通達5−8−3(注)2)。そのため、この支払いは合同会社の仕入税額控除の対象になりません。B社への売上は、通常どおり国内取引です。
なお、代表社員がドイツにお住まいであることによるドイツ側の課税(会社の管理の場所の扱いなど)は、日本の税法の範囲を超えますので、現地の専門家にもご確認ください。少しでもお役に立てれば幸いです。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
- 回答日:2026/10/19
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回答した税理士
年商3,000万円未満の個人事業・小さな会社専門|ふじみの会計事務所(公認会計士・税理士)|決算だけのスポットもOK・全国オンライン
- 認定アドバイザー
- 埼玉県
税理士(登録番号: 150146), 公認会計士(登録番号: 32993)
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