海外在住だが日本で今年所得があった場合の年末調整について
2026年1月初旬に夫の海外赴任への帯同のため出国しました。(住民票はその際に海外転出となっています)日本で勤務していた勤務先とは雇用関係が継続しており、現在は休職中です。
2025年分については、職場から源泉徴収票の交付を受けています。一方で、2025年中の勤務に関連する残業代や遡及支給が、出国後の2026年1月および2月に支払われました。
このような状況において、2025年分の年末調整が適切に完了していると考えてよいか、また、出国後に支払われたこれらの給与については2026年分の所得として取り扱われ、年末調整が必要なのかどうかご教授いただきたいです。
1. 2025年分の年末調整が適切に完了しているか
原則として、2025年分の年末調整は適切に完了しており、やり直しの必要はありません。
国税庁「タックスアンサー No.2509 給与所得の収入金額の収入すべき時期」(所得税基本通達36-9)において、給与等の収入すべき時期(何年分の所得になるか)は次のように定められています。
支給日が定められている給与・手当(通常の残業代など)
契約や慣習により支給日が定められているものは、「その支給日」の属する年分の給与所得となります(所基通36-9(1))。2025年12月勤務分の残業代であっても、支給日が翌年1月である場合は、2026年分の収入金額になります。
給与規程等の改訂(ベースアップ等)に伴う遡及差額
支給日が定められているときは「その支給日」、支給日が定められていないときは「改訂の効力が生じた日」の属する年分の給与所得となります(所基通36-9(3))。
したがって、今回支給された残業代や遡及分が「通常の翌月以降の支給期到来」や「給与規程改訂に基づく差額支給」である限り、これらは2026年分の収入となるため、2025年分の年末調整および交付済みの源泉徴収票に含める必要はなく、適正に完了しています。
※ 例外となるケース
国税庁質疑応答事例『過去に遡及して残業手当を支払った場合』によると、給与規程の改訂等ではなく、計算誤りや未払いなど「本来各支給日に支払うべきであった残業手当」を一括して追加支給したような場合には、本来支払われるべきであった各支給日の属する年分(2025年分)の所得となります。このケースに該当する場合のみ、会社側で2025年分の再計算(源泉徴収票の再交付等)が必要となります。
2. 出国後の給料の取扱いと2026年分の年末調整の要否
出国後に支払われた給料は2026年分の所得となりますが、年末調整の対象にはなりません(不要です)。
(1) 所得の区分と課税関係(非居住者の国内源泉所得)
非居住者の判定
1年以上の予定で配偶者の海外赴任に帯同して出国し、住民票を海外転出とした場合、出国日の翌日(または出国時)から日本の所得税法上の「非居住者」となります(国税庁「タックスアンサー No.2875 居住者と非居住者の区分」、所得税法施行令第15条)。
国内源泉所得の該当性
非居住者となった後に支払われる給料であっても、出国前の日本国内において行った勤務に対応するものは「国内源泉所得」に該当します(所得税法第161条第1項第12号イ、国税庁「タックスアンサー No.2878 国内源泉所得の範囲」)。
源泉徴収税率(20.42%)
国内勤務に基因する手当等全額を非居住者に対して支払う場合、支払の際に一律20.42%(所得税および復興特別所得税)の税率で源泉徴収が行われます(所得税法第212条、第213条、国税庁「タックスアンサー No.2517 海外に転勤する人の年末調整と転勤後の源泉徴収」)。
(2) 年末調整が不要である理由
国税庁の各種手引(『日本における給与に係る源泉徴収制度の概要』等)に「非居住者は年末調整の対象にはなりません」と明記されています。
年末調整は「居住者」を対象として税額を精算する制度です(所得税法第190条、国税庁「タックスアンサー No.2665 年末調整の対象となる人」)。
非居住者が支払いを受ける国内源泉所得の給与については、会社側で20.42%の源泉徴収が行われることで日本での課税関係が原則として完結するため、2026年分の年末調整は行われません。
勤務先への確認事項
源泉徴収税率の確認
2026年1月・2月の支給明細において、出国後の支払分が「非居住者に対する国内源泉所得」として20.42%の税率で正しく源泉徴収されているかをご確認ください。もし居住者扱いのまま通常の税額表(甲欄等)で控除されている場合、会社側で源泉徴収の是正が必要となります。
交付書類の確認
非居住者期間に支払われた給与については、通常の年末調整済みの源泉徴収票ではなく、年末調整未済の源泉徴収票や「非居住者等に支払われる給与、報酬、年金及び賞与の支払調書」が会社から交付される取り扱いとなります。
- 回答日:2026/10/27
- この回答が役にたった:1
詳細にお答えいただき、誠にありがとうございました。
投稿日:2026/10/28
ご質問ありがとうございます。出国のあとに前年の勤務分の残業代などが支払われると、どちらの年の、どのような扱いになるのか分かりにくいですよね。順を追ってご説明します。
結論から申し上げると、2025年分の年末調整は、源泉徴収票のとおり完了していると考えてよいケースがほとんどです。また、出国後に支払われた給与は、原則として2026年分の給与になりますが、非居住者に当たる場合は年末調整の対象にはならず、支払の際の源泉徴収で日本での課税が終わる扱いになります。
① 給与がどの年の所得になるか
給与は、契約や慣習などで支給日が定められているものはその支給日、定められていないものは実際に支給を受けた日の年分の収入となります(所得税基本通達36-9)。給与規程の改定で過去の期間にさかのぼって支払われる差額も、支給日が定められていればその支給日の年分です。したがって、2026年1月・2月が本来の支給日であれば、2025年の勤務に対応するものでも2026年分の給与となり、2025年分の年末調整をやり直す必要は通常ありません。
ただし、本来は2025年中の支給日に支払うべきものが遅れて支払われた場合は、本来の支給日の年分となり、勤務先で2025年分の再計算が必要になることがあります。念のため、支給日の定めを勤務先にご確認いただくと安心です。
② 居住者か非居住者か
ご主人の海外勤務が1年以上の予定である場合、ご主人は国外に住所がある者と推定され、一緒に国外で暮らす配偶者も同じように推定されます(所得税法施行令15条1項・2項)。この場合、出国の日から非居住者として扱われるのが一般的です。住民票を海外転出にされていることも、その判断と整合します。
③ 出国後に支払われた給与の扱い
非居住者が受け取る給与のうち、日本国内での勤務に対応する部分は国内源泉所得に当たります(所得税法161条1項12号イ)。この場合、勤務先が支払の際に非居住者向けの税率で源泉徴収を行い(所得税法212条1項・213条1項)、原則としてそれで日本での課税は完了します(所得税法164条2項)。年末調整は居住者を対象とする手続ですので(所得税法190条)、非居住者になった後の給与は対象になりません。
④ ご確認いただきたい点
・2026年1月・2月の給与明細で、源泉徴収の方法をご確認ください。居住者向けの税額表で計算されているときは、勤務先に非居住者としての扱いへの訂正をご相談いただくとよいと思います。
・赴任期間が1年未満の予定に変わるなど、居住者のままとなる場合は扱いが変わります。その場合は、2026年分について年末調整または確定申告が必要になることがあります。
・住民税は、その年の1月1日にお住まいの市区町村が前年の所得に対して課税します。1月1日の時点でまだ国内にお住まいだった場合は、2025年分の所得に対する住民税がかかりますので、納め方を市区町村にご確認ください。
少しでも状況の整理のお役に立てれば幸いです。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
- 回答日:2026/10/28
- この回答が役にたった:0
回答した税理士
年商3,000万円未満の個人事業・小さな会社専門|ふじみの会計事務所(公認会計士・税理士)|決算だけのスポットもOK・全国オンライン
- 認定アドバイザー
- 埼玉県
税理士(登録番号: 150146), 公認会計士(登録番号: 32993)
回答者についてくわしく知る2025年分の年末調整は、源泉徴収票のとおり完了していると考えてよいです。
2026年1月・2月に支払われた残業代や遡及分は2026年分の給与になりますが、ご質問者様は非居住者なので年末調整の対象にはなりません。
これは、海外の滞在予定が1年以上で、出国の時点で非居住者(日本に住所がない人)になっている前提での結論です。
給与がどの年の収入になるかは、働いた時期ではなく支給日で決まります。所得税基本通達では、給与の収入時期は契約などで決められた支給日とされています。さかのぼって支給される差額も、支給日が決まっていればその支給日の収入です。そのため、2025年中に支給日が来た給与で年末調整をしていれば、2025年分はそれで完了しています。
一方、2026年1月・2月が支給日の給与については、支給日が2026年なので2026年分の給与となります。所得税法では、年末調整は居住者だけを対象とする手続です。ご質問者様は2026年1月初旬から非居住者なので、2026年分の年末調整は行いません。
この給与は2025年に日本で働いた分なので、日本で生じた所得(国内源泉所得)に当たります。非居住者が受け取る日本で生じた給与は、支払時に20.42%(復興特別所得税を含みます)で源泉徴収されます。課税はこの源泉徴収だけで完結し、日本での確定申告も不要です。勤務先が通常の居住者向けの税額表で源泉徴収していた場合は、勤務先で税額を計算し直してもらう必要があると思います。
ただし、滞在予定が1年未満で居住者のままの場合は、2026年分の年末調整か確定申告が必要です。
- 回答日:2026/10/27
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