配偶者名義の事業兼用車両に係るCEV補助金の税務処理について
個人事業主(青色申告)です。
2026年に妻名義で新車の電気自動車を購入する予定です。購入代金は妻が負担し、妻は会社員で、私とは生計を一にしています。
車両は自家用ですが、私の事業でも使用するため、事業使用割合に応じた減価償却費を必要経費に算入する予定です。
なお、以前所有していた車両も妻名義で、同様の方法による減価償却について税理士に確認済みです。
今回の車両については、CEV補助金127万円を妻が申請し、2027年に交付される見込みです。
この場合について、以下をご教示いただけますでしょうか。
1. 妻が受け取るCEV補助金について、所得税法42条の「国庫補助金等の総収入金額不算入」の特例を適用できるでしょうか。
2. 妻が特例を適用した場合、夫である私が必要経費に算入する減価償却費は、補助金を反映した取得価額を基に計算する必要がありますか。
3. 2026年に車両を取得して減価償却を開始し、2027年に補助金の交付が確定した場合、2026年分の減価償却費を修正する必要がありますか。それとも2027年以降の調整でよいでしょうか。
4. 妻は給与所得者で通常は確定申告をしていませんが、所得税法42条の特例を適用する場合、妻自身の確定申告が必要でしょうか。
特に、補助金受給者と減価償却費を必要経費に算入する事業主が異なる場合の取扱いについて、ご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
1. 妻が受け取るCEV補助金について、所得税法第42条の特例を適用できるか
適用できます。
国税庁HPの根拠・取扱い
CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金)は、国から固定資産の取得に充てるために交付される金銭であり、所得税法第42条第1項に規定する「国庫補助金等」に該当します。
給与所得者等の個人が取得する資産に対して交付される国庫補助金等についても、所定の要件および手続きを満たすことで同条の「国庫補助金等の総収入金額不算入」の特例の対象となります(タックスアンサー No.1490、No.2202など)。
2. 夫の必要経費とする減価償却費は、補助金を反映した取得価額を基に計算する必要があるか
補助金の額を控除した(圧縮した)取得価額を基礎として計算する必要があります。
国税庁HPの根拠・取扱い
生計を一にする親族の資産の減価償却(所得税法第56条、所得税基本通達56-1)
事業主が生計を一にする配偶者の資産を無償で事業の用に供している場合、その資産について配偶者のもとで計算される減価償却費相当額のうち、事業供用割合に対応する金額を事業主の事業所得の必要経費に算入します(質疑応答事例「生計を一にする親族の有する資産に係る特別償却」など)。
国庫補助金等の特例適用後の取得価額(所得税法第42条第3項、タックスアンサー No.2202)
所得税法第42条の特例の適用を受けた固定資産の取得費(取得価額)は、「実際に要した金額から総収入金額に算入されなかった国庫補助金等の額を控除した残額」とされ、以後の減価償却費の計算もこの控除後の価額を基礎として行うことと定められています。
妻側で特例を適用して課税所得から補助金を除外(総収入金額不算入)している以上、資産の帳簿価額そのものが減額されるため、夫の事業で経費算入する減価償却費も、補助金を反映(圧縮控除)させた取得価額をベースに計算します。
3. 2026年取得・2027年交付確定の場合、2026年分の減価償却費の修正が必要か
2026年分を遡って修正(修正申告等)する必要はなく、2027年分において調整を行います。
国税庁HPの根拠・取扱い
国税庁ホームページに掲載されている東京国税局の文書回答事例(「個人事業者が、固定資産を取得した後で国庫補助金等の交付を受ける場合の課税上の取扱いについて」)および手引き(「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」の書き方)において、固定資産を取得した年の翌年以降に補助金の交付を受けた場合の処理基準が示されています。
取得した年(2026年分)
実際に要した購入金額(補助金を控除しない金額)を基礎として、その年の減価償却費を計算・計上します。
補助金の交付・返還不要が確定した年(2027年分)
前年(2026年分)にすでに償却費として経費計上された部分と、未償却残高の部分を按分調整します。
「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」の算式に基づき、交付された補助金のうち、2026年分の既償却額に対応する割合部分は総収入金額不算入とならず、妻の「一時所得」の総収入金額に算入されます。
残りの未償却部分に対応する補助金額が総収入金額不算入(圧縮)の対象となり、2027年交付日時点の未償却残高から控除されます。
2027年分以降の減価償却費は、この減額調整後の未償却残高を基に計算します。
4. 妻自身の確定申告は必要か
特例を適用するためには、妻自身の確定申告が必須です。
国税庁HPの根拠・取扱い
所得税法第42条第2項およびタックスアンサー No.2202において、「この特例の適用を受けるためには、『国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書』を添付した確定申告書を所轄税務署長に提出しなければならない」と手続き要件が明記されています。
妻が会社員で普段年末調整のみを行っている場合であっても、本特例の適用を受ける年分(2027年分)については、確定申告書に明細書を添付して申告を行う必要があります。
(参考:特例を適用しない場合の取扱い)
仮に所得税法第42条の特例を適用しない場合、受給した補助金(127万円)は妻の一時所得の総収入金額となります。一時所得の特別控除額(最高50万円)を差し引いた後の金額の1/2((127万円-50万円)× 1/2 = 38.5万円)が給与以外の所得となり、いわゆる「20万円以下の申告不要枠」を超えるため、この場合でも妻の確定申告が必要となります。
- 回答日:2026/11/04
- この回答が役にたった:1
ご丁寧にご回答いただき、ありがとうございます。
補助金の特例適用や、翌年に交付された場合の減価償却費の取扱いについて、具体的にご説明いただき、大変参考になりました。
おかげさまで、今後の税務処理の進め方を理解することができました。
お忙しいところ、ありがとうございました。
投稿日:2026/11/04
ご質問ありがとうございます。奥様名義で電気自動車を購入され、事業にも使われる予定で、CEV補助金の扱いと減価償却をどう整えればよいか、細かな点まで丁寧に整理されていらっしゃいますね。お尋ねの4点について、順にご説明します。
まず前提として、補助金の個別の適否は、交付決定通知の内容や、どなたの収入になるかで変わります。以下は一般的な考え方としてご覧ください。
① 総収入金額不算入の特例(所得税法42条)について
固定資産の取得に充てるため国や地方公共団体から受けた補助金等で、返還が不要と確定し、交付の目的に合った固定資産を取得した場合に、その金額を総収入金額に算入しない特例です。ただし、今回は補助金を受けるのが奥様、事業で車を使うのがご主人、という形です。補助金の受け手がこの特例の対象になるのか、また、補助金の交付元が条文の対象に当たるのかは、交付要綱や交付決定通知で確認する必要があります。
② 減価償却費の計算について
特例の適用を受けた場合、償却費の計算の特例は政令に委ねられています(同条5項)。一般には、補助金相当額を差し引いた金額を基礎に計算する整理になりますので、補助金を反映した取得価額で考えるのが基本です。
③ 2026年に取得し、2027年に補助金が確定する場合
条文には、前年以前に取得した減価償却資産について補助金を受けた場合の計算方法を、別に政令で定めるという趣旨の規定があります(同条1項)。そのため、2026年分の申告をさかのぼって直す前提ではなく、2027年分以後での調整を検討することになると考えられます。具体的な計算は施行令の規定を確認する必要があります。
④ 奥様の確定申告について
この特例は、確定申告書に適用を受ける旨などを記載することが適用の条件とされています(同条3項)。そのため、給与所得だけの方でも、特例の適用を受けるには申告書の提出が前提になる可能性が高いと思います。補助金の所得の区分や他の所得の状況でも変わりますので、事前に税務署または税理士にご確認ください。
⑤ 名義が異なる点
車の名義が奥様である点は、以前に税理士さんと確認された整理を前提にされているとのことです。今回も同じ前提で、購入代金の負担者や事業使用の割合の記録を残しておくと安心です。
少しでもお役に立てれば幸いです。ご不明な点があれば、またお気軽にご質問ください。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
- 回答日:2026/11/02
- この回答が役にたった:1
ご丁寧な回答ありがとうございます。
追加で2点、確認させてください。
① 妻が受け取るCEV補助金127万円について、妻が非課税の特例を利用した場合、私の事業で計上する車の減価償却費も、補助金分を差し引いて計算するという理解でよろしいでしょうか?
② 2026年に車を購入して減価償却を開始し、2027年に補助金の交付が確定した場合、2026年の確定申告は修正せず、2027年以降の減価償却費を調整すればよいのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
投稿日:2026/11/02
回答した税理士
年商3,000万円未満の個人事業・小さな会社専門|ふじみの会計事務所(公認会計士・税理士)|決算だけのスポットもOK・全国オンライン
- 認定アドバイザー
- 埼玉県
税理士(登録番号: 150146), 公認会計士(登録番号: 32993)
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