健康診断費用を上限まで会社負担とする形式がインボイス含め福利厚生費として問題ないか
社員全員に対して「1年に1回健康診断費用を上限1万円まで会社負担とする」と規程を定めて
例えば13,000円の領収書を持ってきた社員に1万円現金支給してその13,000円の領収書を保管するという運用は法人税・源泉所得税の観点で福利厚生費として処理して問題がないでしょうか。(上記の場合は3000円は自己負担、9,000円の領収書なら9,000円を支給(この場合自己負担0で通常の経費の実費精算と同様))
オプションを追加していて数万円の領収書であっても、支給する現金が平等に1万円であれば問題はないでしょうか?
また、仕訳は税込1万円の課税仕入として入力する一方でインボイスは13,000円のような記載になる訳ですが、これでも消費税的な問題は生じないでしょうか。
インボイスQ&Aの「従業員が立替払をした際に受領した適格簡易請求書での仕入税額控除」にある従業員名簿等の保存はあるものとしてお願いします(ちなみに宛名が従業員でなく無記載なら、病院の領収書は不特定多数云々の簡易インボイス対象に該当で問題なしですかね?)
結論:全従業員が対象で、一般的な健診に限るのであれば、給与として課税せず福利厚生費にできると考えられます。ただし、現金で渡す形は給与とされるおそれがあるため、支払方法と領収書の宛名を整えておくのが安全です。
①法人税・源泉所得税
国税庁の質疑応答事例「人間ドックの費用負担」では、希望者全員を対象に会社が費用を負担する場合は給与課税の必要はなく、役員だけを対象とするような場合は課税の問題が生じるとされています(所得税基本通達36-29)。全社員一律の規程は、この考え方に沿います。
一方、食事代の補助を現金で支給した事例(質疑応答事例「使用者が使用人等に対し食事代として金銭を支給した場合」)は、領収証があっても全額が給与とされました。健診でも、会社が医療機関へ直接支払うか、会社宛の領収書で精算する形が無難です。
②オプションで高額になっても一律1万円
実費以下で上限1万円なら、会社の負担額は一定に収まります。ただし上記の事例は「一般的に実施されている人間ドック程度」が前提です。対象を健診・人間ドックに限り、治療や美容目的の検査を除くと規程に明記しておくと安全です。
③仕訳・消費税
健診は健康保険法等の療養の給付ではなく、非課税(消費税法別表第二第6号、消費税法基本通達6-6-1)の範囲外で、課税仕入れと考えられます。会社負担の10,000円(税込)だけを仕入れとする点は、会社が実際に負担した部分のみを課税仕入れとする社員食堂の扱い(タックスアンサー6471)と同じ考え方です。
ただし、質疑応答事例「社員の通信教育費を負担するときの仕入税額控除の可否」では、現金支給は給与の一部で課税仕入れに当たらず、会社宛の領収証を徴した分は課税仕入れとされました。インボイスQ&Aの問94-2は事業に必要な消耗品の立替払の例なので、福利厚生の補助にそのまま当てはまるかは慎重に確認してください。
④宛名が空欄の領収書
簡易インボイスを交付できるのは、小売業・飲食店業等と、これらに準ずる不特定多数向けの事業で、該当は事業の性質で判断されます(消費税法施行令70条の11、インボイスQ&A問24)。宛名が空欄というだけで簡易インボイスと言い切れません。通常のインボイスなら宛名の記載が必要で(消費税法57条の4第1項6号)、買手が補記するには売手の確認を要します(問92)。受診時に宛名を書いてもらうのがよいと考えます。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
- 回答日:2026/10/14
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回答した税理士
年商3,000万円未満の個人事業・小さな会社専門|ふじみの会計事務所(公認会計士・税理士)|決算だけのスポットもOK・全国オンライン
- 認定アドバイザー
- 埼玉県
税理士(登録番号: 150146), 公認会計士(登録番号: 32993)
回答者についてくわしく知る所得税基本通達36-29にあるように、全員に対して1万円を負担するのであれば、福利厚生費として問題ないと思います。1万円までという規定を定めてあるのであれば、従業員が持ってきたインボイスと仕訳の金額が一致しない場合も仕入れ税額控除は可能だと思います。
- 回答日:2026/10/09
- この回答が役にたった:0
社員全員に対して「1年に1回健康診断費用を上限1万円まで会社負担とする」と規程を定めて
例えば13,000円の領収書を持ってきた社員に1万円現金支給してその13,000円の領収書を保管するという運用は法人税・源泉所得税の観点で福利厚生費として処理して問題がないでしょうか。(上記の場合は3000円は自己負担、9,000円の領収書なら9,000円を支給(この場合自己負担0で通常の経費の実費精算と同様))
オプションを追加していて数万円の領収書であっても、支給する現金が平等に1万円であれば問題はないでしょうか?
また、仕訳は税込1万円の課税仕入として入力する一方でインボイスは13,000円のような記載になる訳ですが、これでも消費税的な問題は生じないでしょうか。
インボイスQ&Aの「従業員が立替払をした際に受領した適格簡易請求書での仕入税額控除」にある従業員名簿等の保存はあるものとしてお願いします(ちなみに宛名が従業員でなく無記載なら、病院の領収書は不特定多数云々の簡易インボイス対象に該当で問題なしですかね?)
国税庁HPの情報(質疑応答事例およびインボイス制度に関するQ&A等)に基づく取り扱いは以下の通りです。
1. 法人税・源泉所得税(福利厚生費・給与課税)の観点
結論:福利厚生費として処理して問題ありません(給与課税されません)。
国税庁の質疑応答事例(「人間ドックの費用負担」等)において、役員や使用人の健康診断費用を会社が負担する場合、以下の要件を満たしていれば、給与等として課税されず、会社の「福利厚生費(損金)」として認められます。
対象者の平等性:特定の役員や一部の従業員だけでなく、社内規程等により「全社員(または一定の条件を満たす者全員)」を対象としていること。
負担額の適正性:費用負担額が一般的に実施されている健康診断等の費用として著しく多額でないこと。
運用上の具体例への適用
13,000円の領収書に対して1万円を支給(3,000円自己負担)
全社員に対して公平に定められた一律「上限1万円」という規程に基づく支給であり、会社負担額(1万円)も受診内容も適正範囲内であるため、給与課税されず福利厚生費となります。
オプション追加等で数万円の領収書となった場合
数万円の受診費用であっても、会社が支給・負担する金額が「全社員平等に上限1万円」であれば、特定の者に対する特別な給与(利益供与)とはみなされず、支給した1万円について福利厚生費として処理できます。
9,000円の領収書に対して9,000円を支給
上限範囲内の実費精算であるため、通常の経費精算と同様に全額を福利厚生費として問題ありません。
2. 消費税(インボイス制度・仕入税額控除)の観点
結論:会社負担分(税込1万円)を課税仕入れとして入力する処理で問題ありません。
① 支給額(1万円)と領収書金額(1万3,000円)の不一致について
従業員が13,000円の立替払いを行い、会社がその一部である10,000円(税込)を精算・負担する場合、会社における消費税の「課税仕入れに係る支払対価の額」は会社が実際に負担した10,000円となります。
入力・処理:仕訳上、税込10,000円を課税仕入れ(仕入税額控除の対象)とします。
保存書類:13,000円と記載された領収書(インボイス)と、会社が10,000円を負担・支給したことが確認できる「立替金精算書」等の書類を合わせて保存することで、支給した10,000円に対応する消費税額の仕入税額控除が認められます。
② 病院の領収書(宛名無記載)と簡易インボイスについて
問題ありません。宛名が無記載であっても適格簡易請求書(簡易インボイス)として有効です。
国税庁のインボイスQ&A(問24・問25等)において、不特定多数の者に資産の譲渡や役務の提供を行う事業(小売業、飲食店業、タクシー業等に加え、不特定多数を対象とする医療機関等)は、記載事項を簡易にした「適格簡易請求書(簡易インボイス)」を交付できる事業に該当します。
簡易インボイスでは「書類の交付を受ける者の氏名又は名称(宛名)」の記載が省略可能とされているため、医療機関発行の領収書に宛名が記載されていなくても、他の記載事項(発行者名、登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価の額等)を満たしていれば適格簡易請求書として取り扱えます。
前提とされている「立替金精算書 + 従業員が受領したインボイス(宛名なし簡易インボイス含む) + 従業員名簿等」の保管運用を行っていれば、消費税法上の仕入税額控除の要件を適正に満たします。
- 回答日:2026/10/09
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