家族で同じ口座に積み立てた貯金を各自に戻す時の贈与税について
夫名義の口座に20年以上、家族で積み立てしてきました。夫の退職を機に各自の口座に戻す場合、贈与税がかからない方法を教えてください。
誰がいくら積み立てていたかは夫がエクセルシートできちんと管理しています。
結論:覚書は有力な材料になりますが、覚書だけで十分とは言い切れません。「夫が家族のお金を預かっていた」ことを、覚書に加えて、入金の実績で裏付けておくと安心です。最終的には事実認定で、個別事情により結論は変わります。
①なぜ返還なら贈与税がかからないか
贈与は、財産を無償で与える意思と受け取る意思が合って成立します(民法549条)。夫名義の口座でも、各自が自分のお金を預けていただけなら、戻すのは返還で贈与ではありません。国税庁も相続税の事例で、名義ではなく、資金を誰が出し、管理していたかで判断する考え方を示しています(国税庁「誤りやすい事例⑥」)。
②覚書の役割と限界
署名押印のある内訳書は、誰がいくら出す約束だったかを示す書面です。ただし、実際にその額を入れたことまでは示しません。通帳履歴がなくても、次のもので補えます。
・夫の口座の入金履歴:手渡しの現金を入れた日と額が、覚書の月額と合うか。通帳が手元になければ、金融機関に取引履歴の取得を相談してください(保存期間は金融機関ごとに異なります)。
・家族側の記録:月額を渡す前後の預金の引出し、給与の振込。
・夫のエクセル表:作成日や更新履歴が残るファイルだと、後から作ったものと疑われにくくなります。家計簿、日記、メールも補助になります。
・戻す日と額を書いた精算書(各人が署名)。
③金額の整合
戻す額は、拠出額と一致させるのが基本です。利息や運用益の配分も、拠出の割合に沿って決め、表に残してください。拠出と食い違う配分をすると、その差額が贈与とみなされるおそれがあります(相続税法9条)。
④贈与とされた場合の備えと、戻さない場合の注意
暦年課税では、1人が1年間にもらった額が110万円以下なら贈与税はかかりません(タックスアンサーNo.4402)。贈与税の更正は申告期限から原則6年が限度です(相続税法37条1項。不正があれば7年)。ただし、分割して戻しても、実態が一括の贈与と見られる可能性は残ります。また、夫名義のまま戻さないと、夫の相続の際に夫の財産と見られるおそれがあるため、いま資料を整える意味があります。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
- 回答日:2026/10/14
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回答した税理士
年商3,000万円未満の個人事業・小さな会社専門|ふじみの会計事務所(公認会計士・税理士)|決算だけのスポットもOK・全国オンライン
- 認定アドバイザー
- 埼玉県
税理士(登録番号: 150146), 公認会計士(登録番号: 32993)
回答者についてくわしく知る夫名義の口座にあった預金であっても、実質的にご家族それぞれの資金であることを証明できれば、名義変更や各口座への移動にあたり贈与税はかかりません(贈与ではなく元の所有者への「返還」とみなされるためです)。
非課税でスムーズに資金を戻すためのポイントは以下の通りです。
①管理シートとエビデンスの保存
夫が管理していたエクセルシートに加え、毎月の積み立て元となった過去の通帳履歴(家族それぞれの口座からの振込・引き落とし記録)をあわせて保管・整理しておきます。
②振込(移動)の実行
エクセルの記録に基づき、それぞれの本来の積立額通りに各人名義の口座へ振り込みます。
万が一の税務調査に備え、「誰がいくら拠出したか」という客観的な事実(通帳の記録)をエクセルと照合できるように準備しておくと良いかと思います。
- 回答日:2026/10/13
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さっそくのご回答ありがとうございました。
さらに質問させていただきます。
毎月の積み立て元となった過去の通帳履歴の保管とありますが、夫に手渡ししていたため通帳履歴はありません。但し、積み立てを開始した時に毎月の積み立ての内訳を記述した覚書にお互いに署名、押印した書類がありますが、それを一緒に保管しておけば大丈夫でしょうか?投稿日:2026/10/13
