借上げ社宅の賃貸料相当額の算定(固定資産税評価額が不明な場合)と、役員にも負担させるべき費用について
一人合同会社で、会社が借りた賃貸マンション(RC造、専有25㎡程度)を役員社宅として貸与し、役員から家主賃料の50%を徴収しています。
1. 小規模住宅として所得税基本通達36-41で賃貸料相当額を算定したいのですが、家主から建物・敷地の固定資産税課税標準額を教えてもらえない場合、どのように算定すればよいでしょうか(役員が評価証明書を取得できるか、推計してよいか等)。
2. 借上げ社宅にかかる費用のうち、家賃以外で、会社だけが負担すると役員への給与として課税されるリスクがあり、役員にも負担を求めるべきものには何がありますか(礼金・仲介手数料・更新料・火災保険料・保証料・鍵交換費用・共益費など)。
結論:①は、小規模住宅の算式に使う固定資産税の課税標準額を、賃借人である会社が市区町村で確認する方法が考えられます。②は、家賃(管理費等を含む)以外で、会社だけが負担すると役員の給与になり得るのは、役員個人の生活費に当たるものです。契約に付随する費用は、通達・質疑応答に明文がなく、個別の判断になります。
①課税標準額が分からないとき
・RC造は、住宅用の法定耐用年数が47年(耐用年数省令別表第一)で、木造以外の家屋に当たります。床面積が99㎡以下なら小規模住宅です(所得税基本通達36-41)。マンションの1室を借りる場合は、共用部分を含めて判定します(国税庁質疑応答事例「役員に貸与したマンションの共用部分の取扱い」)。
・賃貸料相当額は、(建物の固定資産税の課税標準額×0.2%)+(12円×総床面積÷3.3㎡)+(敷地の課税標準額×0.22%)です(タックスアンサー2600)。小規模住宅には、借上げ社宅の家賃の50%を使う取扱いは適用されません(36-40ただし書)。
・課税標準額は、固定資産課税台帳に登録された価格です(質疑応答事例「社宅に係る通常の賃貸料の額を計算する場合の固定資産税の課税標準額」)。課税標準額が建物全体や敷地全体で決まっている場合は、全体の額と全部の床面積を基に、合理的にあん分します(36-42(1))。
・入手方法:建物の賃借権を持つ者(契約者である会社)は、市区町村に固定資産課税台帳の閲覧を求められます(地方税法382条の2、同施行令52条の14第3号)。取扱いは市区町村の窓口でご確認ください。「推計してよい」と明記した国税庁の資料は確認できなかったため、台帳で確かめるのが無難です。
②家賃以外の費用
・家主へ支払う家賃に含まれる管理費・共益費等は、強いて役員の個人的費用として扱う必要はないとされています(質疑応答事例「役員に貸与したマンションの管理費」)。
・水道光熱費、電話・インターネット料金、家具家電、家財の保険など、役員個人の生活に係る費用は、会社が負担すると、役員の債務を会社が負担した経済的利益として給与になり得ます(所得税基本通達36-15(5))。役員の負担にするのが安全です。
・現金で支給する住宅手当や、役員が直接契約した家賃を会社が負担する形は、社宅の貸与と認められず、給与として課税されます(タックスアンサー2600)。
・礼金・仲介手数料・更新料・保証料・火災保険料・鍵交換費用は、会社を借主とする契約に伴う支出です。役員に負担を求めるとした通達・質疑応答は確認できませんでした。実質が役員個人のためかどうかで判断します。
③補足
徴収額が賃貸料相当額に満たない場合、その差額は役員給与になり、損金算入の要件(定期同額給与など、法人税法34条)にも関わります。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
- 回答日:2026/10/14
- この回答が役にたった:0
回答した税理士
年商3,000万円未満の個人事業・小さな会社専門|ふじみの会計事務所(公認会計士・税理士)|決算だけのスポットもOK・全国オンライン
- 認定アドバイザー
- 埼玉県
税理士(登録番号: 150146), 公認会計士(登録番号: 32993)
回答者についてくわしく知る