役員からの債務免除があった際の株価の計算について
- 投稿日:2026/10/22
- 相続・事業承継・M&A
- 回答数:1件
同族会社(中会社)に対する社長のからの債務免除があった際の類似業種比準価格及び純資産価額計算について
1株当たりの純資産価額は、(前期末直前の純資産価額+債務免除額(債務免除に係わる法人税相当額控除後))÷直前期末の発行株式数になるかと思いますが、繰越欠損があるため実際の法人税等は課税されない場合であっても、「債務免除に係わる法人税相当額」は債務免除額の37%(38%)を控除して良いでしょうか?
また純資産価額の計算上も同様に、実際の課税の有無にかかわらず、前期末の借入金残高より債務免除額を控除した金額に訂正後、債務免除額の37%(38%)を控除して良いでしょうか?
ご質問ありがとうございます。社長からの債務免除で株価がどう動くかは、贈与税の問題にもつながるため、法人税等相当額の扱いひとつでも気になりますよね。順にご説明します。
結論から申し上げると、繰越欠損金があって実際には法人税等がかからない(または少ない)場合に、債務免除額に一律の率を掛けた金額を差し引いてよい、という取扱いは、財産評価基本通達や国税庁の質疑応答事例からは読み取れません。実際に見込まれる税額で考えるのが筋だと思います。
① 純資産価額(相続税評価額)について
純資産価額は、課税時期の資産から課税時期の負債を差し引いて計算します(財産評価基本通達185)。免除を受けた借入金は負債から外れます。負債に含められる税金は、課税時期の属する事業年度の法人税等のうち、期首から課税時期までの期間に対応する未払いの金額です(同通達186(1))。
国税庁の質疑応答事例「欠損法人の負債に計上する保険差益に対応する法人税額等」では、保険差益の額から欠損金の額を控除して法人税額等を計算するとされています。債務免除益そのものの事例ではありませんが、同じ考え方で、債務免除益から繰越欠損金を控除した後に残る所得に対応する税額だけを負債に入れ、税額が出なければ計上しない、と考えるのが自然です。
なお、仮決算をしない場合に課税所得の一定割合で差し支えないとする事例(「評価会社が受け取った生命保険金の取扱い」)もありますが、これは「課税所得金額が算出される場合」の話として書かれています。
また、同通達186-2の「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」は、資産の含み益(相続税評価額と帳簿価額の差)に対するもので、債務免除益とは別のものです。借入金が減っても、相続税評価額と帳簿価額の両方で同じだけ負債が減るため、評価差額は変わりません。
② 類似業種比準価額の「1株当たりの純資産価額」について
この比準要素は、直前期末の資本金等の額と利益積立金額(法人税申告書別表五(一)の金額)で計算します(同通達183(3))。直前期末後の出来事で修正する定めは、配当と株式の割当て等に限られています(同通達184)。債務免除が直前期中であれば、実際の税額を反映した利益積立金額にすでに入っています。直前期末後の債務免除を加える方法は通達の文言には見当たりませんので、採用される場合は根拠を整理しておくことをお勧めします。
あわせて、1株当たりの利益金額は非経常的な利益を除いて計算します(同通達183(2))。
③ 注意点
同族会社に対価なしで債務免除をした場合、株価が上がった部分は、他の株主が免除した人から贈与を受けたものとして扱われます(相続税法基本通達9-2(3))。会社が資力を喪失している場合の取扱い(同9-3)もあります。他の株主がいらっしゃる場合は、この計算に直結しますので、評価明細書の記載方法とあわせて、税務署や税理士にご確認いただくと安心です。
少しでもお役に立てれば幸いです。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
- 回答日:2026/10/22
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回答した税理士
年商3,000万円未満の個人事業・小さな会社専門|ふじみの会計事務所(公認会計士・税理士)|決算だけのスポットもOK・全国オンライン
- 認定アドバイザー
- 埼玉県
税理士(登録番号: 150146), 公認会計士(登録番号: 32993)
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