所得税を天引きせず支払った掛け持ちパートの源泉徴収票と納付手続き
個人事業主です。退職したパート従業員の2026年分の源泉徴収票について相談します。
従業員はほかの仕事も掛け持ちしており、当店には扶養控除等申告書を提出していません。20日締め・当月末払いで、給与は1月29,563円、2月19,350円、3月3,225円、合計52,138円です。別途、地下鉄の通勤実費6,800円を支給しています。所得税・社会保険料を差し引かず全額を支払いました。退職日は2026年2月22日です。
①この状態で作成する源泉徴収票の「源泉徴収税額」はどう記載すればよいでしょうか。実際に徴収していない税額を0円とするのか、本来の税額を記載するのかも確認したいです。
②引いていなかった所得税について、事業主が今から必要な計算・納付等の手続きを順番に教えてください。
③従業員に税金相当額を返してもらう必要がありますか。本人の他の勤務先での年末調整や確定申告による精算との違いも教えてください。
税務に不慣れなため、実際に行う作業が分かる形でご説明いただけると助かります。可能であれば、電話ではなく文章でのご回答をお願いします。
既存のご回答を補う形で、事業主側の作業を順にまとめます(令和8年分)。
結論:①源泉徴収票の「源泉徴収税額」は、事業主が今から所得税を納付し、本人から同額を返してもらった(または精算した)うえで、その額を記載するのが基本です。②引いていなかった所得税は、今からでも事業主が納付します。今回の金額なら、不納付加算税・延滞税はかからない見込みです。③返してもらうかは選べますが、返してもらわない場合はその分が追加の給与となり、計算し直しが必要です。
①税額の計算
・扶養控除等申告書の提出がないので「乙欄」です(所得税法185条、国税庁タックスアンサーNo.2511)。令和8年分の月額表乙欄は、社会保険料等控除後の給与が105,000円未満ならその3.063%(1円未満切捨て)です。
・1月29,563円→905円、2月19,350円→592円、3月3,225円→98円で、合計1,595円です。3月払いは退職日を含む期間の日割り分なので日額表乙欄を使う取扱いですが(所得税基本通達185-3)、この金額ならどちらも3.063%の区分です。
・地下鉄の通勤実費は月15万円以内なら非課税で(所得税法9条1項5号、同施行令20条の2)、源泉徴収票の支払金額には含めません。支払金額は52,138円です。
②事業主の手続
1)「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)」を支払月ごとに作り(納期の特例の承認を受けていれば1〜6月分を1枚で)、金融機関・税務署・e-Taxで納付します。本来の期限は支払月の翌月10日です(所得税法183条1項)。
2)加算税・延滞税は、計算の基礎となる税額が1万円未満なら切り捨てられるため(国税通則法118条3項)、今回は生じない見込みです。
3)本人に1,595円を請求するか、今後の支払から差し引きます。受け取った額は「徴収された所得税」とみなされます(所得税法222条)。
4)源泉徴収票を作り、本人に交付します(本来は退職後1か月以内。所得税法226条1項)。年の中途の退職で支払金額30万円以下なので、税務署への提出は不要です(タックスアンサーNo.7411)。
③返してもらわない場合と、本人側の精算
・事業主が負担して請求しないと決めた場合は、その額を手取りで追加支給したものとして、改めて税額を計算する取扱いです(所得税基本通達221-1(2))。
・他の勤務先の年末調整は、その勤務先の給与だけが対象で(所得税法190条)、当店分は精算されません。本人は、当店分も含めて確定申告をすれば、源泉徴収票の1,595円を差し引いて精算できます。当店分のような従たる給与と他の所得の合計が20万円以下なら確定申告は不要ですが(所得税法121条1項2号)、還付を受けるための申告はできます。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
- 回答日:2026/10/18
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回答した税理士
ふじみの会計事務所|公認会計士・税理士|決算申告のみの単発に対応/全国オンライン対応
- 認定アドバイザー
- 埼玉県
税理士(登録番号: 150146), 公認会計士(登録番号: 32993)
回答者についてくわしく知る①源泉徴収票の「源泉徴収税額」には、事業主が今から納付する本来の税額を記載します。
今回は扶養控除等申告書が出ていないので、税額は月額表の「乙欄」で計算します。
・支払金額には給与の合計52,138円を記載します。
・地下鉄の通勤実費6,800円は非課税なので、支払金額に含めません。
・社会保険料を差し引いていないので、社会保険料等の金額欄には何も書きません。
・源泉徴収税額には、1月・2月・3月の各支給額から乙欄で出した税額の合計を記載します。
所得税法の規定により、事業主が後から納付して本人に請求できる税額は、源泉徴収された所得税とみなされます。
そのため、0円ではなく本来の税額を記載します。
乙欄は少額の給与でも税額がかかります。
各月の税額は、2026年分の源泉徴収税額表(月額表)の乙欄で確認してください。
②手続きは次の順番で行います。
①1月・2月・3月の支給額ごとに、月額表の乙欄で本来の税額を計算します。
②支給月ごとに「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)」を作り、税務署か金融機関で納付します。
③①の税額を記載した源泉徴収票を作成し、本人に渡します。
納期の特例の承認を受けている場合、1月〜6月の支給分の納期限は7月10日です。
期限内に納付すれば、延滞税や加算税はかかりません。
承認を受けていない場合、本来の期限は各支給月の翌月10日です。
期限を過ぎて納付すると、延滞税と不納付加算税(源泉所得税の納付が遅れたときにかかる加算税)の対象になります。
税務署の調査を受ける前に自主的に納付すれば、不納付加算税の割合は国税通則法の規定により10%から5%に下がります。
③返してもらうかどうかは事業主が決められます。
所得税法の規定により、事業主は納付した税額を本人に請求できます。
請求せずに事業主が負担した場合は、その分も給与として扱うことになると考えます。
本人の他の勤務先での年末調整では、当店の給与は精算されません。
当店の給与は、本人が他の勤務先の給与と合算して確定申告をし、そこで精算します。
その際は、当店の源泉徴収票に記載された税額を差し引いて精算します。
- 回答日:2026/10/18
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詳しく手順まで教えていただき、ありがとうございました。必要な対応が理解できました。税務に不慣れなため、具体的にご説明いただけて大変助かりました。ご回答いただき、心より感謝いたします。
投稿日:2026/10/18
①そのまま記載する以外ないと思います。
②引いていないものは、どうすることもできません。
③源泉徴収されていない場合、ご本人が確定申告をする必要があります。
本来、事業主には源泉徴収義務があります。源泉徴収義務違反にはなっております。
- 回答日:2026/10/17
- この回答が役にたった:0
ご回答ありがとうございます。実際の手続きを進めるため、2点だけ確認させてください。
①「そのまま記載する」とは、実際に所得税を徴収していないため、源泉徴収票の「源泉徴収税額」は0円と記載して交付する、という意味でしょうか。
②本人の確定申告とは別に、事業主側では、徴収していなかった源泉所得税について、今から自主納付・税務署への申出等が必要でしょうか。「どうすることもできません」とのご回答は、事業主側の追加手続きが不要という意味なのか、それとも別途税務署に相談すべきという意味なのかを教えてください。
よろしくお願いいたします。投稿日:2026/10/17
