副業で個人事業 。 本業を業務委託にするメリット?
扶養内パートタイマー(年収120万)で、副業で個人事業主として開業予定です。
個人事業としての今年の売り上げは70万円程度の予定です。
ただその先は見通しがなく収入は安定しないと思います。
パート先から、
「パートではなく、業務委託という形にする?収入合算できれば確定申告が楽なんじゃないか?」と言われています。
今は扶養内ですが、ゆくゆくは社保にも厚生年金にもパート先で入りたいと思っています。
(その前に国保に加入することにはなると思いますが。)
もしパート先の契約を解除して業務委託という形を取ったら、本業の収入+副業の収入になるということですよね。
副業でいくら赤字になっても本業分の給与があり赤字の繰越ができなくて損するのではないかと思っています。
業務委託としてパート仕事と、副業の個人事業の収入合算するメリットがわからないので、相談したいと思った次第です。
よろしくお願いいたします。
結論:業務委託にして収入を合算するメリットは見当たりません。令和8年分の数字で見ると、所得税そのものの差は小さい一方、扶養の判定・社会保険・雇用としての保護の面で不利になりやすいと考えます。既存の回答に、数字と制度の根拠を補います。
①赤字の心配
副業が事業所得なら、赤字は給与所得と相殺できます(損益通算。所得税法69条)。引ききれない赤字は、青色申告なら翌年以後3年繰り越せます(同法70条)。ただし青色申告特別控除(55万円・65万円)は、事業所得の金額が上限の控除で、赤字は作れません(租税特別措置法25条の2)。また、取引を記録した帳簿書類を保存していないと、収入300万円以下は原則として雑所得になり、赤字は通算できません(所得税基本通達35-2の注)。
②令和8年分の数字
・給与収入120万円の給与所得は、給与所得控除74万円を引いた46万円です(措置法29条の4)。
・基礎控除は合計所得489万円以下で最大104万円、扶養親族等の所得要件は合計所得62万円以下です(措置法41条の16の2、所得税法2条1項33号・34号。令和8年12月1日施行、令和8年分から)。
・例:副業の売上70万円、経費20万円、青色65万円控除なら、事業所得は0円で合計所得は46万円です。
・業務委託にして収入190万円を合算すると、給与所得控除はなくなります。経費20万円、青色65万円控除でも、所得は105万円です。約59万円増え、62万円を超えるため、家族の控除の対象から外れるおそれがあります。
・青色65万円控除には、複式簿記とe-Taxなどの要件があります(同法25条の2)。
③社会保険
健康保険・厚生年金の被保険者は「適用事業所に使用される者」です(健康保険法3条1項、厚生年金保険法9条)。業務委託の個人事業主は、通常は入れません。ただし、契約書の名称でなく実態(時間・場所の拘束、指示、代替の可否)で、給与か事業かが判断されます(所得税法28条1項)。現在の扶養が外れるかは、加入先の保険者の基準によるため、事前にご確認ください。
④確定申告の手間
給与は年末調整で完結するため、副業の所得が20万円以下なら所得税の申告は不要で、住民税の申告のみです。20万円を超えれば給与も合わせて申告します(所得税法121条1項、タックスアンサー(コード1900))。業務委託にすると全収入を自分で記帳・申告するため、楽にはなりません。青色申告の承認申請は、新たに開業する場合、開業から2か月以内です(1月15日以前の開業は3月15日まで。No.2070)。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
- 回答日:2026/10/14
- この回答が役にたった:1
詳しく補足ありがとうございます。
>例:副業の売上70万円、経費20万円、青色65万円控除なら、事業所得は0円で合計所得は46万円です。
>給与は年末調整で完結するため、副業の所得が20万円以下なら所得税の申告は不要で、住民税の申告のみです。20万円を超えれば給与も合わせて申告しますと書いていただいてますが.この場合、今年は確定申告はしないで、パート先の年末調整だけで大丈夫という認識であっていますでしょうか?
投稿日:2026/10/15
回答した税理士
ふじみの会計事務所|公認会計士・税理士|決算申告のみの単発に対応/全国オンライン対応
- 認定アドバイザー
- 埼玉県
税理士(登録番号: 150146), 公認会計士(登録番号: 32993)
回答者についてくわしく知る パート先との契約を業務委託に変更するメリットはほとんどなく、デメリットやリスクの方が非常に大きいため、現在の「パート(給与所得)+副業(事業所得)」の形態を維持することを強くおすすめします。
パート先の担当者様は親切心で「合算して確定申告が楽になる」と提案されたのかもしれませんが、税務上も社会保険上も、実態は大きく異なります。
1. 「赤字の相殺(損益通算)」についての誤解と真実
ご相談者様が懸念されている「赤字の繰越ができなくて損するのではないか」という点について解説します。
• 現在の「パート+副業」の場合:
副業(事業所得)で赤字が出た場合、パート収入(給与所得)と相殺(損益通算)することができます。これにより、全体の所得が下がり、所得税や住民税の節税になります(※副業が税務上「事業」として認められる規模・実態である必要があります)。相殺しきれなかった赤字は、青色申告であれば翌年以降に繰り越せます。
• すべてを「業務委託(事業所得)」に合算した場合:
パート仕事の収入も副業の収入も、すべて同じ「事業所得(または雑所得)」という一つのカゴに入ります。そのため、副業部分が赤字であれば、自動的にパート仕事の黒字部分と相殺されます。
つまり、赤字の相殺という点においてはどちらの形態でも可能ですが、「給与所得控除」という非常に強力な税制上の優遇を失う点で、業務委託化は大きく損をします。
2. 業務委託に変更する4つの大きなデメリット・リスク
① 税金が高くなる(給与所得控除の喪失)
パート(給与)の場合、年収120万円に対して74万円の給与所得控除が自動的に適用され、税金がかかる元となる所得を低く抑えられます。
業務委託になるとこれが無くなり、収入から「実際の経費」を引いた額がそのまま所得になります。在宅や店舗でのパート業務を有料の経費として証明するのは難しいため、結果として税金(所得税・住民税)が跳ね上がる可能性が高いです。
② 「扶養枠」から即座に外れるリスク(最重要)
現在、ご家族の扶養(社会保険の被扶養者)に入られているかと思います。
多くの健康保険組合では、「個人事業主として開業した時点」、あるいは「業務委託契約になった時点」で、金額に関わらず扶養から除外するという厳しいルールを設けています。「収入合算で190万円(120万+70万)だからまだ大丈夫」と思っていても、契約形態が変わっただけで扶養を外され、自分で国民健康保険・国民年金(月額数万円)を払わなければならなくなるリスクがあります。
③ 将来「パート先で社保・厚生年金に入る」夢が絶たれる
ご相談者様は「ゆくゆくはパート先で社保・厚生年金に入りたい」というお考えをお持ちです。
しかし、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入できるのは、あくまで「雇用されている労働者(パート・アルバイト)」だけです。業務委託契約(対等な事業者同士の契約)を結んでしまうと、どれだけ長く働いても、その会社で社会保険に加入することは制度上絶対にできません。
④ 労働者としての権利(有給・労災など)を失う
業務委託になると「労働者」ではなくなるため、以下の権利がすべてなくなります。
• 有給休暇がつかない
• 仕事中に怪我をしても労災保険が降りない
• 会社都合で契約を切られても「解雇」にはならず、守ってもらえない
「収入が安定しないかもしれない」という不安があるからこそ、ベースとなる120万円は雇用と社会保険への道が保障された「給与」として確保しておくべきです。パート先には、「将来的にこちらで社会保険に加入させていただきたいので、このまま雇用(パート)の形で続けさせてください」とお伝えするのが最も確実ではないでしょうか。
- 回答日:2026/10/14
- この回答が役にたった:1
ご丁寧にありがとうございます。
主人の会社の健保は、幾らも稼いでいなかったとしても「開業した時点で扶養から外れる」パターンです。
勤務時間を今の所増やせないので、暫くは国保加入、生活の基盤が整った頃に勤務時間数を増やして社保加入もお願いしたいと思います。
業務委託になった場合のデメリットをわかりやすくご解説くださりとても助かりました。
思っていた以上にデメリットが満載なので、山口さんのおっしゃる通りに、「このままパート雇用でお願いしたい」と伝えます。ありがとうございました!
投稿日:2026/10/15
