法人と個人の売買
小売業をしています。一人法人です。
Amazonでは法人として販売し、楽天では個人として販売しています。
法人が仕入れた在庫を、原価で個人に売却しました。
原価で個人に売却することに問題はないでしょうか?
例えば、法人が税込200万円で仕入れた在庫を、個人に税込200万円で売却するというイメージです。
ご質問ありがとうございます。法人で仕入れた在庫を、原価で代表者ご自身(個人)に売却されたとのこと、問題がないか気になりますよね。結論から申し上げると、原価(税込200万円で仕入れて税込200万円で売る)という売り方は、価格の面で注意が必要です。
① 法人側の税務
法人が資産を売るときの売上は、原則として時価で計上します(法人税法22条2項)。原価で売ると、時価との差額が出ます。代表者への売却であれば、その差額は役員に対する経済的な利益(法人税法34条、法人税基本通達9-2-9)とされ、定期同額給与や事前確定届出給与に当たらないため、損金に算入できない扱いになります。さらに、給与として源泉所得税の問題も生じます。
② 個人側の税務
低い価格で買った場合、その差額は給与等の経済的利益として課税される可能性があります。通常の販売価額が時価の目安になります。
③ 消費税
法人が役員に資産を譲渡した場合に、対価が時価に比べて著しく低いときは、時価を対価の額とみなして消費税が課税されます(消費税法28条1項ただし書)。
④ 会社法
代表者と会社との取引は、利益相反取引に当たります(会社法356条1項2号)。一人法人でも、株主総会(取締役会設置会社は取締役会)での承認と議事録の作成をしておくと安心です。
⑤ 実務のポイント
・売却価格は、法人が他の事業者に売る通常の価格を基準にする。
・売却の理由、価格の根拠、承認の議事録を残す。
・値引きをする場合は、一般の販売先にも行っている程度の範囲にとどめる。
お役に立てれば幸いです。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
- 回答日:2026/10/19
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回答した税理士
年商3,000万円未満の個人事業・小さな会社専門|ふじみの会計事務所(公認会計士・税理士)|決算だけのスポットもOK・全国オンライン
- 認定アドバイザー
- 埼玉県
税理士(登録番号: 150146), 公認会計士(登録番号: 32993)
回答者についてくわしく知る法人が代表者(個人)へ在庫を原価で売却することには税務リスクがあります。
税法上、販売額が「通常の販売価格(時価)の70%」を下回る場合、時価との差額が「役員賞与」とみなされます。役員賞与になると法人の経費にできず、個人にも所得税が課税されます。また、会社法上の利益相反取引に該当するため、一人法人でも株主総会議事録を残す必要があります。通常の販売価格の70%以上での売却をおすすめします。
- 回答日:2026/06/30
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