海外在住取締役が個人負担したAIアプリ開発費の会計・税務処理について
日本で株式会社を設立しました。現在は売上・役員報酬ともになく、青色申告承認申請書は提出済みです。
オーストラリア在住の外国人取締役が、会社のAI教育アプリ開発のため、以下のサービス費用を個人のクレジットカードで支払っています。
* 利用サービス:Lovable、ChatGPT、Claude等
* 支払総額:約AUD 8,000
* 設立前:約AUD 4,000〜6,000
* 設立後:約AUD 2,000〜4,000
* 支払通貨:豪ドル(AUD)
* 主な用途:アプリ開発・AIサービス利用(一部私的利用あり)
開発したアプリの知的財産権は日本法人に帰属させる予定です。
以下についてご教示ください。
1. 設立前後の開発費を日本法人の経費またはソフトウェア資産として計上できますか?
2. 一部私的利用がある場合、事業利用分を合理的に按分すれば計上できますか?
3. 海外取締役の個人立替分を「役員借入金」として処理し、後日AUDで返済できますか?
4. 外貨建て費用の円換算には、どの日付の為替レートを使用すべきですか?
5. 開発成果物の知的財産権を日本法人へ帰属させる際、契約書や税務上の手続きは必要ですか?
よろしくお願いいたします。
設立前後の開発費は、どちらも日本法人で計上できます。
設立前の分は、法人がその費用を負担すると取り決めたうえで、創立費または開業費として計上するのが妥当と考えます。
法人税法施行令では、創立費は法人の設立のために支出する費用で法人が負担すべきもの、開業費は設立後に事業を始めるまでの開業準備のために特別に支出する費用とされています。
どちらも繰延資産(支出の効果が将来に及ぶため、資産に計上して数年で費用にしていくもの)です。
償却限度額は未償却残高の全額なので、好きな事業年度に好きな金額を償却できます。
一方、アプリを作るためにかかった費用は、法人税基本通達の取扱いにより、そのアプリ(ソフトウェア)の取得価額に含まれます。
製作に直接使ったAIツールの利用料は、完成まではソフトウェア仮勘定とし、完成して使い始めた時点でソフトウェアとして減価償却します。
製作と直接関係しない利用料は、支出した時の経費(支払手数料など)にします。
2の一部私的利用がある場合も、事業で使った分を合理的な基準で按分すれば計上できます。
基準は、利用時間や用途ごとの利用状況など、後から説明できるものにしてください。
私的利用分は取締役個人の負担とし、会社の帳簿には載せません。
3の取締役が立て替えた分は、役員借入金(または未払金)として処理し、後日AUDで返済して構いません。
立替時の円換算額と返済時の円換算額に差が出た場合、その差額は為替差損益として計上します。
4の円換算は、法人税基本通達の取扱いにより、原則としてそれぞれの取引日(各サービスの利用・決済日)の電信売買相場の仲値(TTM)を使います。
継続して同じ方法を使うことを条件に、費用については取引日の電信売相場(TTS)も使えます。
同じく継続適用を条件に、前月末日の相場や前月の平均相場も認められています。
5の知的財産権を日本法人に帰属させるには、取締役と法人の間で、権利の譲渡(帰属)に関する契約書を交わしておくべきです。
特に設立前に作った成果物の権利は取締役個人にあるため、契約がないと法人の権利だと説明できません。
税務署への届出などの手続きは不要です。
ただし、権利を無償で譲り受けた場合は、法人側で受贈益(ただで受け取った利益)として課税されることがあります。
立替費用の精算と引き換えに権利を譲り受ける内容にしておくのが無難と思います。
- 回答日:2026/10/24
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