借り上げ社宅退去時の原状回復費用について消費税の個別対応方式の用途区分
借り上げ社宅を従業員に貸し付けていました。家賃の50%を徴収していました。
従業員が退職したので社宅の賃貸契約を解除します。
原状回復費用の請求が来ましたが、この課税仕入について個別対応方式の用途区分では非課税売上対応になるでしょうか?
そもそもこの原状回復費用は元従業員が負担すべき費用で現物給与に該当でしょうか?そうなると課税仕入にならないでしょうか?現物給与だとしても課税仕入にはなるでしょうか?(原状回復費用の請求時点で退職済と考えると社外の人間で交際費や寄附金?)
ちなみに金額は家賃1ヶ月分強です。
ご質問ありがとうございます。退職に伴う社宅の解約で原状回復費用の請求が届き、消費税の区分だけでなく、そもそも誰が負担するものなのかも気になりますよね。既にいただいている回答に、まだ触れられていない「現物給与になる場合でも課税仕入れになるか」を中心に補足いたします。
結論から申し上げると、会社が貸主や工事業者に支払う原状回復費用は、その費用を元従業員に負担させるべきかどうかに関係なく課税仕入れに当たり、個別対応方式では非課税売上対応に区分するのが基本と考えます。
① 課税仕入れになるか
課税仕入れから除かれるのは「給与等を対価とする役務の提供」、つまり雇用契約などに基づいて従業員が労務を提供することです(消費税法2条1項12号、消費税法基本通達11-1-2)。原状回復費用の支払いは、会社が貸主や工事業者から役務の提供を受ける取引です。仮にその負担が元従業員への給与等と扱われることになっても、会社と業者との取引の性格は変わりませんので、課税仕入れであることに変わりはありません。インボイスの保存などの要件は通常どおり必要です。
② 用途区分
社宅を従業員に貸し付けて家賃の50%を受け取っていたとのことですので、会社は住宅の貸付け(非課税)を行っていたことになります。賃貸用住宅の建築に係る課税仕入れは、非課税売上にのみ要するものの例とされています(同通達11-2-15)。住宅の貸付けを終える際の原状回復も、その貸付けのための費用ですので、非課税売上対応と整理するのが自然です。
③ 元従業員の負担とする場合
会社と従業員のどちらが負担するかは、社宅規程や使用契約の定めによります。
・規程に基づいて元従業員に請求し、損害の賠償として受け取る場合は、受け取った金額は消費税の対象外(不課税)です(同通達5-2-5)。支払った原状回復費用の区分は①②のとおりです。
・規程上は元従業員の負担とされているのに会社が負担する場合は、その分が元従業員への経済的利益として給与等に当たる可能性がありますので、規程の定めと退去時の状況を確認しておくと安心です。
・交際費や寄附金は、事業に関係のある者への接待等や、見返りのない贈与に当たる支出の話ですので、通常の社宅の原状回復費用をそこで考える必要はないと思います。
退去時の立会い記録や、見積書の明細(通常の使用による損耗か、故意・過失による損傷か)を残しておくと、どの扱いになるかを判断する根拠になります。少しでもお役に立てれば幸いです。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
- 回答日:2026/10/18
- この回答が役にたった:0
回答した税理士
年商3,000万円未満の個人事業・小さな会社専門|ふじみの会計事務所(公認会計士・税理士)|決算だけのスポットもOK・全国オンライン
- 認定アドバイザー
- 埼玉県
税理士(登録番号: 150146), 公認会計士(登録番号: 32993)
回答者についてくわしく知るこんにちは、税理士の川島です。
>原状回復費用の請求が来ましたが、この課税仕入について個別対応方式の用途区分では非課税売上対応になるでしょうか?
→社宅のが居住用ですので課税区分は非課税ということは、ご記載の通り非課税売上対応となります。
>そもそもこの原状回復費用は元従業員が負担すべき費用で現物給与に該当でしょうか?
→会社契約でされていると思われますので、現状回復費用も会社負担となります。原状回復費用の内容が明らかに元従業員に過失がある場合には、請求する余地はあるかと思われます(福利厚生規定の社宅に記載が必要)。
- 回答日:2026/09/17
- この回答が役にたった:0
社宅という時点で、家賃は非課税売上です。現状回復費は、非課税売上対応となります。
原状回復費は、借り上げた会社が請求を受けていますので、会社が支払うのが一般的だと思います。ただ、社宅は福利厚生の一つですので、従業員さんとの間で賃貸契約書を作り、経年劣化以外の場合は原状回復費を請求する旨があれば、請求しても良いと思います。
退職された時に、社宅の状況は双方で確認されたことと思います。その時点で特に大きな問題がなかったのであれば、原状回復費を元社員に請求することは難しいと思います。
- 回答日:2026/09/17
- この回答が役にたった:0
