立替請求時の証憑の取扱いについて
立替請求時の適格請求書の写しについて、社内運用を整理しており、ご意見を伺いたくご相談です。
消費税法基本通達11-6-2では、写しの作成が大量となり、交付が困難な場合には一定の要件のもと写しを省略できると理解しています。
一方、社内で運用しようとすると、「何枚程度から大量と考えるのか」という問題が出てきます。
法令・通達等に具体的な枚数基準があるのか、ない場合には、実務上どのように判断するのが適切なのか、ご意見をいただけないでしょうか。
特に、
① 1枚~数枚程度でも省略可能なのか
② ある程度まとまった枚数の場合に限定すべきなのか
③ 会社で「○枚以上」など一定の運用基準を設定して差し支えないかの3点についてご教示いただけますと助かります。
ご質問ありがとうございます。立替請求の場面で「何枚から大量といえるのか」は、社内の運用を決めようとすると悩みやすいところですよね。通達の条文を読み込んだうえでのご相談で、整理の方向がとても明確だと思います。
結論から申し上げると、私が確認できた範囲では、国税庁の資料に「○枚以上」といった具体的な枚数の基準は見当たりませんでした。したがって、枚数だけで決まるものではなく、「コピーを交付することが困難な事情があるか」で判断する形になると考えられます。
① 取扱いの根拠について
国税庁のインボイスQ&A(問94・立替金、令和6年4月改訂)では、立替払いをした会社が、立替えを受けた会社に適格請求書のコピーと精算書を渡すのが原則とされています。そのうえで、立替えを受けた者に交付するコピーが大量となるなどの事情で交付が困難なときは、立替払いをした会社が適格請求書を保存し、立替金精算書を交付すればよいとされています。この場合、精算書の保存をもって仕入税額控除を受けられます(消費税法基本通達11-6-2に関するQ&Aです)。
② 3つのご質問について
・1枚から数枚の場合:枚数が少なければ、原則どおりコピーを渡すことが難しい事情は通常ありにくいため、省略できるかは慎重に考えたほうが安心です。一方で、コピーに他社分の情報が多く含まれ、黒塗りに大きな手間がかかるなど、枚数以外の事情が実際にある場合もあります。そうした事情は、個別に判断することになります。
・まとまった枚数の場合:複数の会社分を一括で立替えている場合など、コピーが大量になる場面が典型として想定されています。
・社内基準の設定:法令上の枚数基準がない以上、社内で「○枚以上」と決めること自体を直接禁じる定めは、私が確認した範囲ではありません。ただ、枚数だけを機械的な線にすると、実態と合わない場合が出てきます。「枚数の目安」と「手間や情報の混在などの事情」を併記し、省略した理由を記録に残す形にしておくと、後から説明しやすくなります。
③ 精算書に必要なこと
省略する場合は、精算書に、仕入税額控除に必要な事項(支払先の名称、適用税率ごとの区分、消費税額等、適格請求書発行事業者からの仕入れかどうか)を記載する必要があるとされています。ここが漏れると控除に影響しますので、ひな形に入れておくと安心です。
④ 注意点
Q&Aは改訂されることがあります。運用を決める際は、最新の問94をご確認ください。判断に迷う個別のケースは、所轄の税務署や顧問税理士にご相談いただくと安心です。
少しでもお役に立てれば幸いです。ご不明な点があれば、またお気軽にご質問ください。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
- 回答日:2026/11/02
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回答した税理士
年商3,000万円未満の個人事業・小さな会社専門|ふじみの会計事務所(公認会計士・税理士)|決算だけのスポットもOK・全国オンライン
- 認定アドバイザー
- 埼玉県
税理士(登録番号: 150146), 公認会計士(登録番号: 32993)
回答者についてくわしく知る消費税法基本通達のなお書きにも、ほかの法令・通達にも、「何枚から大量か」という具体的な枚数基準はありません。
この取扱いが使えるのは、多数の事業者の分を一括して立替払いしたため写しの作成が大量になり、交付が難しい場合です。
枚数だけでなく、立替払いの実態を見て判断することになると考えます。
① 1枚〜数枚程度:写しを交付する手間が小さいため、「交付が困難」とは言いにくく、省略は難しいと考えます。
② まとまった枚数の場合:多数の相手先の分を一括で立替払いしていて、写しの作成・交付の負担が大きいときに限るのが通達の趣旨に合います。
③ 社内基準の設定:「○枚以上」などの目安を社内で決めること自体は問題ありません。ただし、その枚数を選んだ理由(相手先の数、件数、事務負担など)を説明できるようにしておくべきです。
写しを省略する場合でも、次の条件はすべて満たす必要があります。
・立替払いをした会社が、元の適格請求書を保存すること
・明細書等に、各社の負担分の金額と消費税額等を合理的に分けて記載すること
・支払先の名称と登録番号を各社が確認できるようにすること(明細書に記載する、別に書面で通知する、基本契約書で定めておくなど)
この条件がそろっていれば、立替えを受けた側は明細書等を保存するだけで仕入税額控除を受けられます。
- 回答日:2026/11/01
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解説いただきありがとうございます。
枚数の明記がなく、立替払いの実態や負担で判断されるという点、大変よく理解できました。
社内基準の考え方や、写しを省略する際の3つの条件についてもクリアになり助かりました。
いただいたアドバイスを参考に、社内での運用基準を検討してみます。投稿日:2026/11/01
