鍼灸・マッサージ業を営んでおり、今後、合同会社を設立して事業を分けることを検討しています。 具体的には、法人では店舗での自費施術、個人事業では訪問による健康保険適用の施術を継続する想定です。 この場合、法人と個人事業が類似事業と判断されることによる税務上の問題や、事業の実態が伴わない形式的な分割とみなされるリスクはありますか? また、適切に区分するために必要な経理・契約・事業運営上の注意点について、一般論としてご教示いただきたいです。
税理士からの回答
回答日:2026/10/13
おはようございます、税理士の川島です。
実務上の観点から率直な意見を申し上げますと、ご検討されているような「同一の施術業を、店舗=自費、訪問=保険適用で法人と個人に分ける」という形態は、税務上および運営上、非常にリスクが高くお勧めできません。
理由と、今後検討すべき方向性について以下の通り解説いたします。
1. 税務上のリスク(実質所得者主義の原則)
一体の事業とみなされる懸念: 鍼灸・マッサージ業という本質的に同一の人的役務提供事業を、場所や保険適用の有無という形式的な基準だけで法人と個人に分けることは、税務調査において問題視されやすいです。
実質所得者主義の原則: 税法上の大原則である「実質所得者主義の原則」に照らし、形式上は法人と個人に名義が分かれていたとしても、実態として経営資源(顧客基盤、ノウハウ、設備など)が一体で運用されていると判断された場合、個人事業側の所得が法人に合算される(あるいはその逆)など、所得の再計算や修正申告を求められる大きなリスクがあります。
2. 消費税の観点(課税売上割合と仕入税額控除の複雑化)
売上の区分と納税義務: 鍼灸・マッサージの施術のうち、健康保険が適用される施術は「非課税売上」となり、自費による施術は「課税売上」となります。
リスクの増大: これを「法人と個人」という2つの事業者に分散させた場合、それぞれの事業者における課税売上高の判定(消費税の免税事業者・課税事業者の判定)や、共通経費に対する「個別対応方式」または「一括比例配分方式」による仕入税額控除の計算が極めて複雑かつ恣意的なものとみなされやすくなり、消費税の課税関係で大きなトラブルや否認リスクを招く原因となります。
3. 専門家としての推奨:事業全体での「法人成り」
法人化のメリット(節税や社会的信用の向上など)を享受したいのであれば、事業を中途半端に分断するのではなく、事業の全部を法人成り(合同会社化)させることを強くお勧めします。
事業を一つにまとめた法人の中で、自費施術と保険適用の売上や経費を適切に経理・管理していく方が、実質所得者主義や消費税の取扱いの観点からも、コンプライアンス上はるかに安全でクリアな運営が可能となります。
法人で所有している鉄骨アパート(ワンルーム4室、ファミリー向け1室)の1室をその法人の事務所として使おうと考えています。 減価償却期間は標準では34年ですが事務所として利用するときは38年になる認識ですが合っているでしょうか。 また、事務所として利用しているとしていい条件についてもお伺いしたいです。 1棟の内1室だけの事務所利用でも事務所利用時の減価償却期間を適用してもいいのでしょうか。
税理士からの回答
回答日:2026/09/27
鉄骨の骨格材の肉厚が4mmを超える建物であれば、住宅用34年、事務所用38年という耐用年数の認識で合っています。
一つの建物を複数の用途で使用している場合、原則として、その建物の「主たる用途」に応じて耐用年数を判定します。
今回のように5室のうち1室だけを法人の事務所として使用し、残りを引き続き賃貸住宅として使用するのであれば、建物全体としては住宅が主たる用途と考えられますので、まずは住宅用の耐用年数で考えることになります。
ただし、事務所部分が他の住戸と明確に区分されており、それぞれが相当の規模で、取得価額なども床面積等によって合理的に区分できる場合には、事務所部分と住宅部分を分けて、それぞれの用途に応じた耐用年数を適用できる余地があります。
また、事務所として特別な届出が必要というより、実際にその部屋で法人の業務を継続して行っているかという使用実態が重要になります。
なお、鉄骨造は骨格材の肉厚によって耐用年数が異なりますので、その点も建築資料等で確認してみてください。
続きを読む現在、個人事業主として活動しておりますが、来年1年だけ雇用で働くことを検討しています。 小規模企業共済、経営セーフティ共済ともに掛けておりまして 個人事業主→雇用への転換の際に 1.そのタイミングで小規模企業共済は共済事由A(廃業)で受け取る 2.経営セーフティ共済は40か月を超えているので掛け止めをして1年間雇用で働き退職してから受け取る といった事は可能でしょうか。
税理士からの回答
回答日:2026/09/14
国税庁HPに掲載されている所得税法、租税特別措置法、タックスアンサー、質疑応答事例等)に基づき、税務上の取扱いを中心にお答えします。
なお、国税庁HPは「共済金・解約手当金を受領した際の税金上の扱い(所得区分や収入金額算入)」を説明する機関であり、共済契約の手続や制度自体の運用規程(掛け止めの申請手続や契約解除手続等)は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の管轄となりますので、共済金に関する詳細については、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)に問い合わせされることをお勧めします。
1. 個人事業主から雇用へ転換する際の小規模企業共済(共済金A)の受取について
可能(税務上は「退職所得」として扱い)
税法上の根拠・取扱い
国税庁HP(所得税法施行令第72条第3項第3号、質疑応答事例「法人成りにより支給を受ける小規模企業共済契約の一時金の所得区分」等)によると、個人事業の廃業に伴い支給される小規模企業共済金(共済金A)は、税務上「退職所得」に該当します。
雇用に転換するにあたり、税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出し、個人事業を完全に廃業した実態があれば、共済金Aとして退職所得扱いで受け取ることが税務上認められています。
(※事業を廃業せず継続したまま解約(任意解約)し、かつ受取時点で65歳未満の場合は、退職所得ではなく「一時所得」として扱われます。)
2. 経営セーフティ共済の掛け止め・雇用後の受け取りについて
可能(税務上は「実際に受領した年の事業所得の総収入金額」に算入)
税法上の根拠・取扱い
国税庁HP(租税特別措置法関連・公表資料等)によると、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の解約手当金は、解約手当金を受領した日の属する年の「事業所得の総収入金額」に算入されます。
40か月以上納付した状態で掛け止めを行い、1年間の雇用期間を経てから解約手当金を受領する場合、税務上はその解約手当金を受け取った年の事業所得(総収入金額)として計上・課税処理されます。
現在、法人をこのまま続けるか、法人を廃業して個人事業主に戻るか悩んでいます。 資産運用の面で、法人に利益を残して投資信託を運用する場合と、個人事業主として得たお金で投資信託を運用する場合では、長期的にどちらが有利でしょうか。 比較を単純にするため、NISAなどの非課税制度は使わず、どちらも同じ投資信託を年率5%で長期運用する前提で考えています。 税金や社会保険料、運用益に対する税金、最終的に法人のお金を個人へ移す際の税負担まで含めて比較したいです。
税理士からの回答
回答日:2026/09/10
税負担や社会保険料、将来の資金引き出しまで考慮すると、長期的な資産形成では「個人」として運用する方が有利になるケースが一般的です。
法人:法人で投資信託を運用する場合、益に対して法人税(約25〜35%)が課税されます。さらに、増やした資産を個人に移す際(役員報酬や退職金)、所得税・住民税や社会保険料が再度発生し、二重で税負担が生じます。
個人:個人運用であれば、売却益に対する課税が約20.315%で完結します。
法人は「経費化できる範囲」等で有利な側面もありますが、純粋な投資運用益の個人還元という観点では個人運用が勝ることが多いかと思います。
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