2026年4月に法人を設立しました。代表取締役1名で自分のみです。 初年度は役員報酬をゼロにしたいです。会計ソフトへの入力等の手続きは必要でしょうか。 私は2025年9月に会社を定年退職となり、現在は引継ぎのために嘱託で雇用されており、 社会保険も定年前と同様に加入しています。 2027年4月からは役員報酬を設定して、社会保険も自分の法人で加入したいと思っています。
お聞きしたいことは次の3点です。 1. 設立前の費用を遡って計上できるのは、実務上どこまでですか(半年/1年/それ以上)。 2. 次のものは創立費または開業費に入りますか。入らないものがあれば教えてください。 ・業務に関連する研修や資格取得講座の受講料 ・打ち合わせの飲食代、交通費 ・異業種交流会の参加費、懇親会費 ・名刺、チラシの制作費 ・会計ソフトの年間利用料 約11万円(設立前に個人カードで支払済み) ・生成AIツールの月額利用料、書籍代 ・経営コンサルタントへの顧問料 月3万円 3. 交通費など領収書が出ないものは、どう記録すれば足りますか。 【前提】 ・2026年10月設立予定の株式会社。代表取締役1名のみ。決算期9月 ・現在は個人事業主として同種の仕事をしており、青色申告をしています ・上記はすべて個人名義のカード・現金で支払っています あわせて、繰延資産として任意償却できるという理解で合っているか、1期目に全額を計上するのと翌期以降に回すのとで、どちらを選ぶかの判断基準もご教示ください。1期目は赤字の見込みです。
税理士からの回答
回答日:2026/09/02
1. 設立前費用の遡及期間
実務上、設立前の費用を遡って計上できる期間は一般的に1ヶ月〜数ヶ月程度、最長でも1年が限度とされています。
税法上で明確に「〇ヶ月前まで」という期間の規定はありません。しかし、設立に「直接必要な費用」である必要があるため、あまりに長期間前のものは法人のための支出として認められにくくなります。今回は現在すでに個人事業主として活動されているため、「個人事業の経費」と「法人の設立準備費用」を明確に区別する必要があります。10月設立であれば、早くとも2026年に入ってからの支出(約10ヶ月前まで)が実務上の限界ラインと考えられます。
2. 各項目の創立費・開業費の判定
ご提示いただいた項目はすべて創立費または開業費として計上可能です。法人の事業を開始するために「直接要した費用」と認められるためです。それぞれの分類と注意点は以下の通りです。
業務に関連する研修や資格取得講座の受講料
開業費に含められます。ただし、代表者個人のみに帰属する国家資格の取得費用などは、個人の資産とみなされて法人の経費(開業費)にできないケースがあるため注意が必要です。
打ち合わせの飲食代、交通費
開業費(交際費・旅費交通費の性質を持つもの)に含められます。
異業種交流会の参加費、懇親会費
開業費(交際費等の性質を持つもの)に含められます。今後の取引先開拓のための支出として説明できるようにしておきます。
名刺、チラシの制作費
開業費(広告宣伝費の性質を持つもの)に含められます。
会計ソフトの年間利用料(約11万円)
開業費に含められます。11万円という金額ですが、会計ソフトのライセンス利用料(通信費や消耗品費の性質)であれば、一括して開業費としてまとめて問題ありません。
生成AIツールの月額利用料、書籍代
開業費(通信費・図書費の性質を持つもの)に含められます。
経営コンサルタントへの顧問料(月3万円)
開業費に含められます。設立や開業準備のための経営指導料として合理的な支出です。
※なお、会社の設立登記そのものにかかった費用(公証人の手数料、登録免許税、司法書士への報酬など)は「創立費」、設立登記後から事業開始までにかかった費用(上記のご質問内容など)は「開業費」に区分します。
3. 領収書が出ない交通費などの記録方法
領収書が出ない公共交通費などは、「出金伝票」を作成するか、Excelなどで「旅費交通費精算書(移動明細)」を記録すれば十分です。記録すべき必須項目は以下の4点です。
支払った日付訪問先や目的(例:〇〇株式会社 設立打ち合わせのため)移動区間(例:〇〇駅 〜 〇〇駅、片道/往復)金額
現在は個人名義のカードや現金で支払われているとのことですので、カードの利用明細と合わせて、これらの明細(出金伝票)を保管しておけば税務調査でも問題なく認められます。
繰延資産の任意償却と判断基準
「任意償却ができる」というご理解は完全に正しいです。創立費と開業費は、税法上で「繰延資産」となり、税法上の原則は5年(60ヶ月)の均等償却ですが、特例としていつでも好きな時に、好きな金額を費用化できる「任意償却」が認められています。極端に言えば、設立1期目は0円、2期目に全額といった処理も可能です。今回、「1期目は赤字の見込み」とのことですので、1期目は全額を計上せず、翌期以降に回す(繰り延べる)のが最も有利な判断基準となります。赤字の会社がさらに費用を増やしても、当面の節税メリットがないため1期目に全額を費用(償却)してしまうと、赤字の額が膨らむだけになります。黒字化した期に費用化することで、ダイレクトに法人税を減らせるため創立費・開業費を資産として残しておき、2期目以降に利益(黒字)が出たタイミングで必要な分だけ償却(費用化)すれば、その期の利益を圧縮して法人税を安く抑えることができます。したがって、1期目の決算では創立費・開業費を「資産」のままとし、償却費は0円(または赤字を増やさない程度の少額)にしておくことをおすすめします。
お聞きしたいことは次の4点です。 1. 1期目の役員報酬を0円にして、生活費は会社から借りる(役員貸付金)という形を勧められました。実務上、これはありでしょうか。認定利息など注意点があれば教えてください。 2. 役員報酬0円だと、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入できないという理解で合っていますか。 3. 日本政策金融公庫の創業融資の審査で、役員報酬0円は不利に働きますか。 4. 役員報酬を出す場合、いつまでに決める必要がありますか。設立から3か月以内という理解で合っていますか。 【前提】 ・2026年10月設立予定の株式会社。代表取締役1名のみ、従業員なし ・決算期9月/資本金200万円 ・1期目の売上見込みは月20〜40万円程度、固定費は年90万円ほど ・設立後に創業融資300万円程度の申込を予定 ・現在、健康保険に未加入の期間があり、設立を機に社会保険へ加入したいと考えています 知人の経営者から「自分は今年の役員報酬をゼロにした。給与でもらわず会社から借りる形もある。ただ決算書はきれいには見えない」と言われました。 融資と社会保険の両方をふまえて、どちらを選ぶべきか判断の分かれ目を教えてください。
税理士からの回答
回答日:2026/09/02
1. 役員報酬0円+役員貸付金という設計について
実務上は「あり」ですが、リスクは複数あります。
税務上の位置づけ
会社が役員に無利息または低利で金銭を貸し付けた場合、適正利率との差額は役員に対する経済的利益(給与)とみなされます(所得税基本通達36-49)。
実務上の注意点
・金銭消費貸借契約書を必ず作成し、返済期日・利率・返済原資を明記する。「なんとなく借りて、なんとなく返す」状態は税務調査で否認・給与認定のリスクが高まります。
・返済原資の見込みがないまま貸付が累積すると、実質的に役員報酬の付け替えと認定される可能性があります。
・貸付金は貸借対照表上「資産(貸付金)」として残り続けます。これが2で述べる融資審査上の評価に直結します。
・代表者に相続が発生した場合、この貸付金債権は相続財産に算入されます(相続税法上、金銭債権として評価)。ご本人だけの会社とはいえ、一応念頭に置くべき点です。
・設立第1期から報酬0円とする場合、法人税法34条の定期同額給与の要件(「同額」であること)自体は0円でも満たすため、損金不算入の問題は生じません。問題は「認定利息」と「融資・社保への影響」の側にあります。
2. 役員報酬0円だと社会保険に加入できないか
ご理解のとおりで概ね合っています。
・健康保険・厚生年金は「報酬」を基礎に標準報酬月額を算定する制度のため、報酬(労務の対償)がなければ算定の基礎自体が存在せず、被保険者資格を取得できません。
・日本年金機構の実務上も、報酬支払いの実態がない役員は資格取得が認められません(将来的に支給予定があっても、現時点で支払いがなければ不可)。
・加入できない場合は国民健康保険・国民年金への加入となります。国民健康保険には被扶養者制度がない点も、扶養家族がいる場合は考慮が必要です。
3. 日本政策金融公庫の創業融資審査への影響
法令上の直接の不利要件ではありませんが、実務上はマイナスに働きやすい要素です。
2024年4月に「新創業融資制度」は「新規開業・スタートアップ支援資金」に一本化され、自己資金要件(創業資金総額の1割以上)は制度上撤廃されました。ただし審査の現場では依然として自己資金の有無・比率が重視される傾向が続いています。
審査・面談では「代表者の生活費をどう賄うか」「事業からの資金流出がないか」が確認されます。
役員報酬0円+会社からの貸付という構図は、事業性資金(融資金を含む)が生活費に流用されるリスクとして見られやすく、資金繰り計画の甘さや事業の持続可能性への疑義を招きやすいです。
貸付金が決算書(貸借対照表)に計上されている状態は、金融機関からは「事業に使われず社外に流出した資金」と評価される傾向があります(これは融資実務の慣行であり、税法上のルールではありません)。
今回のケースは「設立後に融資を申し込む」予定とのことなので、申込時点ではまだ決算書がない(創業計画書ベースの審査)点は救いです。ただし面談で「生活費はどうしますか」と聞かれた際に「会社から借ります」と答えるのは心証面で得策ではありません。
4. 役員報酬を出す場合の決定期限
ご理解のとおり、実務上は「設立から3か月以内」が目安です。
根拠:法人税法34条1項1号(定期同額給与)、法人税法施行令69条1項1号
条文上は「各事業年度開始の日から3月を経過する日(3月経過日等)まで」にされた改定が定期同額給与の要件を満たす改定とされています。
設立第1期は設立の日が事業年度開始の日となるため、設立の日から3か月以内に株主総会(または取締役の決定)で報酬額を決定する必要があります。
いったん決定すると、期中の増額改定は原則として損金不算入(増額分)となり、減額改定も「業績悪化改定事由」等の特別な事情がない限り認められません。
3か月経過後に決定・改定した場合、その事業年度は「定期同額給与」に該当しない部分が生じ、損金不算入となるリスクがあります。
現在自宅でドコモ光電話を使用しています。 自宅でに事務所を構えるに当たって電話番号を取得する予定です。今は個人名義での契約ですが会社契約に変更していいのか、別に法人として電話番号を取得するのかどう対応すれば良いでしょうか?
税理士からの回答
回答日:2026/08/31
「個人名義のまま、オプションで仕事用の電話番号を追加する」のが、最も簡単なためおすすめです。自宅兼事務所(個人事業主や1人社長など)の場合、名義そのものを会社(法人)に変更しなくても、法人としての固定電話番号を取得し、経費として計上することが可能ですよ。ドコモ光の請求(ネット+電話)のうち、仕事で使っている割合(例: 50%など)を事業使用分として法人の経費(通信費)に算入できます。
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